研究・開発

開発

▼次期超広視野CMOSカメラ「Tomo-e Gozen」の開発

木曽観測所では、シュミット望遠鏡の広視野特性を最大限に活かした超広視野CMOSカメラ「Tomo-e Gozen」の開発を2014年より進めてきました。世界初の天文用モザイクCMOSカメラで、84枚の35mmフルHD CMOSを用いて、シュミット望遠鏡の全視野である直径9°の視野を覆います。また、CMOSセンサはCCDに比べ高速にデータを読み出すことができるため、「Tomo-e Gozen」は1秒以下の間隔(2フレーム/秒)で画像を撮る「動画観測」を行えるという特長を持ちます。

2019年10月より本格運用を開始しました。

Tomo-e Gozenプロジェクトについては、こちらのページをご覧ください。

Pin Tomo-e Gozen ニュース一覧

2022.08.09広視野動画撮影でとらえた赤色矮星たちの短時間閃光現象
2022.07.13即時動画観測がとらえた地球接近小惑星の高速自転
2022.07.11微小地球接近小惑星42天体の発見に成功
2022.07.04突発天体の分類性能が大幅に改善
2022.05.18矮新星 SS Cygの可視光とX線の明るさの時間変動に高い相関を検出
2022.04.26高速同時観測により FRB 20190520B からの可視光放射に強い制限
2021.12.09爆発直後のIa型超新星からパルス状の閃光を観測
2021.11.16東京大学の紅山仁さんが日本惑星科学会秋季講演会にて2021年度最優秀発表賞を受賞
2020.12.05トモエゴゼンで「はやぶさ2」探査機の動画観測に成功
2020.11.11京都大学生存圏研究所 MU レーダとの微光流星の同時観測に成功
2020.04.10水星探査機ベピコロンボを観測
2020.04.03アトラス彗星を観測
2019.11.27太陽系外縁天体クワオアーによる恒星掩蔽(えんぺい)現象の高感度動画観測に成功
2019.11.25ボリソフ彗星(2I/Borisov)を観測
2019.10.08地球接近小惑星2019 SU10の発見
2019.09.30トモエゴゼンの観測運用の開始について
2019.04.24Tomo-e Gozen フルモデル ファーストライト
2019.04.23超新星 SN 2019cxx の発見
2019.03.20地球接近小惑星2019 FAの発見
2019.03.15Tomo-e Gozen Q2ユニット ファーストライト
2018.11.30Tomo-e Gozen Q3ユニット ファーストライト
2018.02.20Tomo-e Gozen Q1カメラ ファーストライト
2017.10.12地球接近天体2012 TC4の観測
2017.10.04Tomo-e Gozen Q0カメラ ファーストライト
2016.04.08X線天文衛星「ひとみ」地上追跡観測
2015.12.04「はやぶさ2」地球スイングバイ観測
2015.11.24Tomo-e Gozenカメラ試験機 ファーストライト
2014.01.17キャノン株式会社が開発した高速低ノイズCMOSセンサでラブジョイ彗星を撮影

観測研究

▼KWFC大規模観測プログラム

広視野モザイクCCDカメラKWFCの能力を最大限活用するため、 通常の共同利用観測とは別に、2012年度より以下の2件の大規模観測プログラムを実施してきました。
 ※KWFCの運用は2017年度で終了しました

  • Pin 超新星サーベイ KISS
      (KIso Supernova Survey)
    • PI: 諸隈智貴
        (tmorokuma (at) ioa.s.u-tokyo.ac.jp)
    • 主な目的:
      まだ観測がほとんど進められていない超新星爆発直後の現象をとらえることに重点を置く超新星サーベイである。まず、「重力崩壊型超新星」については、重力崩壊により親星内部で発生した衝撃波が親星光球面を通過する際に明るく輝く「ショック・ブレイクアウト」現象の検出を目指す。この現象は、古くから理論的に予言されてきたが、X線、紫外線での偶然の検出がわずかにあるのみであり、可視波長域での観測により超新星爆発モデルや親星の半径などの物理量への制限を加えることができる。また、「Ia型超新星」については、爆発直後のものを観測することで、標準光源として使われているにもかかわらず未だ明らかとなっていない親星システムの性質を調べることを目指す。
  • Pin 銀河面サーベイ KISOGP
      (KWFC Intensive Survey Of the Galactic Plane)
    • PI: 松永典之
        (matsunaga (at) ioa.s.u-tokyo.ac.jp)
    • 主な目的:
      銀河面中の遠方(太陽系から1万光年以上)の領域にある脈動変光星や新星・矮新星などの変光点体を探査する。とくに、反銀河中心方向の広い領域を、星間減光が比較的小さいIバンド(約0.8ミクロン)で繰り返し観測し、KWFCの広視野をいかして多数の変光星を一挙に検出する。そして、変光星の分布から銀河系円盤の大局的な構造を明らかにしていく一方、新星・矮新星の多様性の解明(特に新たな種類の突発天体の探査と、統計的性質の理解)を目指す。

▼木曽紫外超過銀河サーベイ

木曽シュミット望遠鏡を用いたUVで明るい銀河のサーベイプログラム(1978-1999)。 U、G、Rの3色(またはU、 Rの2色)のフィルターを用いて、A0星より青い色をもつ銀河を Kiso Ultraviolet-Excess Galaxies (KUG)として検出。 232天域(約7,000平方度)を観測し、9910個のKUGをカタログ化。 宮内良子氏(国立天文台)、高瀬文志郎氏(東京大学)、前原英夫氏(国立天文台)、 中嶋浩一氏(一橋大学)らによる研究。

画像とカタログはこちら


観測データ

▼データ・アーカイブ

今までに木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡で取得されたデータのうち、CCDカメラで 撮影され1年を経過したものは、国立天文台天文学データ解析計算センターのSMOKA (Subaru Mitaka Okayama Kiso data Archival system)において公開されています。 また、写真乾板のデジタル化データの公開も2019年9月より開始しました。

アーカイブデータの使用を希望される方はSMOKAの ページを御覧下さい。


▼木曽シュミット乾板カタログ

1974年の開所から1999年まで、木曽105cmシュミット望遠鏡では写真乾板(一部フィルムも含む)を用いた観測が行われました。 視野の大きさは6度×6度。 7000枚を越える写真乾板のデータは、観測所内に大切に保管されています。

データはSMOKAにて公開されていますので、 データを希望する方はSMOKA Photographic Plate Archiveのページを御覧下さい。

資料
写真乾板データ (テキストファイル、書式は以下の参考文献1をご覧ください。)
参考論文1 (PDFファイル)
参考論文2 (PDFファイル)

写真乾板観測状況マップ
観測回数で観測領域を色分けしたものです。 アンドロメダ銀河(0h43',+41)、かみのけ座銀河団(13h, +30)、オリオン座星生成領域(6h, 0)などの観測回数が多いことがわかります(図中の×印の箇所)。


▼木曽シュミット乾板のデジタル化

主に写真として蓄積されてきた過去の天文データの劣化や散逸を防ぎ、将来に わたって広く活用するために、そのデジタル化が重要となっています。 また、高額の資金を投じた観測装置の観測データなどは、その公共性に鑑み、 できるかぎりインターネット上で参照可能な方式にすることが求められています。

木曽観測所では、中嶋浩一氏(一橋大学)、宮内良子氏(国立天文台)を中心に、 2015年から木曽シュミット乾板データのデジタル化プロジェクトを進めてきました。 プロジェクトの詳細は、こちらのページを ご覧ください。

2019年3月に、約7000枚を超える木曽シュミット乾板データのデジタル化が完了し、2019年9月より、 SMOKA Photographic Plate Archiveにて データの公開を開始しました。


発表・成果

▼年次報告

理学部天文学教室および天文学教育研究センターと合同で各年度の研究成果・活動の報告をまとめています。2014年度より電子データでの公開となり、理学部天文学教室のページでご覧いただけます。


▼木曽シュミットシンポジウム

 木曽観測所では、木曽観測所を利用しているユーザー、および、今後の利用を希望する方々を 対象として、毎年シンポジウムを開催しています。シンポジウムでは、現在進行中、または 完了した観測の報告と将来の観測計画について発表、討論を行います。

木曽シュミットシンポジウム2024を 2024年5月15日(水)-16日(木)に
開催します。
詳しくはこちらをご覧ください。

年度をクリックすると過去のプログラムや集録をご覧いただけます

2023年度 2023年5月30-31日
2022年度 2022年7月5-6日
2021年度 2021年10月4-6日
2019年度 2019年7月9-10日
2018年度 2018年7月10-11日
2017年度 2017年7月5-6日
2016年度 2016年7月5-6日
2015年度 2015年7月13-14日
2014年度 2014年7月10-11日
2013年度 2013年7月9-10日
2012年度 2012年7月10-11日
2011年度 2011年7月13-14日
2010年度 2010年7月15-16日
2009年度 2009年7月9-10日
2008年度 2008年7月10-11日


▼木曽観測所関係 論文リスト

▽2023年のリスト
▽2022年のリスト
▽2021年のリスト
▽2020年のリスト
▽2019年のリスト
▽2018年のリスト
▽2017年のリスト
▽2016年のリスト
▽2015年のリスト
▽2014年のリスト
▽2013年のリスト
▽2012年のリスト
▽2011年のリスト
▽2010年のリスト
▽2009年のリスト
▽2008年のリスト
▽2007年のリスト
▽2006年のリスト
▽2005年のリスト
▽2004年以前のリスト

最近10年間の論文数の推移 (2023年11月17日作成)

査読論文数

※査読論文数の平均 (2014-2023年)

最近10年間
 [本/年]
最近5年間
 [本/年]
査読論文合計
21.4
16.4
  木曽観測所で得られたデータを用いた
査読論文数
5.8
5.0
  木曽観測所のスタッフが関わった
査読論文数
19.9
16.2


学位論文数