Tomo-e Gozen フルモデル ファーストライト

2019年4月23日

木曽観測所で開発を進めている超広視野CMOSカメラ「Tomo-e Gozen」の全ユニットが揃い、ファーストライトデータの取得に成功しました。

Tomo-e Gozenカメラは84枚の35mmフルHD CMOSイメージセンサを搭載しますが、 カメラが巨大になるため、四分の一ずつ分けて製作して望遠鏡焦点面にて結合する方式をとってきました。 今回、最後のユニットとなるQ4ユニットを105cmシュミット望遠鏡へ搭載し、ついに全84枚のCMOSセンサが揃いました。

Tomo-e Gozen camera
図1:望遠鏡に取り付けられたTomo-e Gozen フルモデル
右下の1/4が今回搭載したQ4ユニット

最後のユニットの搭載も非常にスムーズに行われ、日没前には全84センサの同時読み出しに成功しました。 当日はあいにく天気が下り坂で晴れ間は期待できない状態でしたが、少し雲が薄くなった瞬間にドームスリットを開けてデータの取得を試みました。 結果、見事84センサでのファーストライトデータ取得に成功しました。 雲があるため星数は少ないですが、84枚全てのセンサに星が写っています(図2)。

first light image
図2:ファーストライト画像 : しし座付近
露光時間 0.5秒
※84枚のセンサの画像を並べて表示

図3は、図2と同じ視野で、センサの隙間を埋めるために少し位置をずらして撮影(ディザリング)した6枚の画像を合成したものです。 隙間なく、直径9度の領域が撮影できています。 この2×3のディザリングは、Tomo-e Gozenカメラの基本となる撮影方法で、この設定で毎晩全天を撮影します。 (今回は振り幅が少し不十分だったため中央に隙間ができていますが、実際の運用では隙間なく撮影します。)

first light image
図3:ディザリング画像
露光時間 3秒(0.5秒×6枚)

今回のQ4ユニット搭載により、Tomo-e Gozenカメラの全視野である約20平方度を一度に観測できるようになりました。 計画通りの結果であるものの、実際に画像を目の当たりにするとその威力が実感として得られ、感動が沸き起こりました。 プロジェクトに「Tomo-e Gozen」の名前がついてから5年。 多くの方々のお力を得て、ついにここまで来ました。

Tomo-e Gozenカメラでは、2019年3月に地球接近小惑星の発見、 4月には超新星の発見と、期待通りの成果が着実に出始めています。 重力波望遠鏡LIGO/Virgoのからのアラートを受けた観測も始まっています。 これから数か月かけてカメラの試験や観測・解析システムの整備を行って、成果を「量産」できる強力なシステムを構築し、 秋から本格運用を始める予定です。 これからのTomo-e Gozenの活躍に、ぜひご期待ください。


Tomo-e Gozen Q4 and members
図4:Tomo-e Gozen Q4ユニットを囲んで
4月になり新しいメンバーも加わりました

cake and members
図5:ファーストライト恒例のケーキ

恒例のケーキはフルモデル完成祝いの特別バージョンで!
いつもの木曽福島の御菓子司 田ぐちさんの美味しいケーキをベースに、84枚のチョコをデコレーションしました。 「84」のろうそくは、名古屋のアマチュア天文家の小林さんからいただきました。

special cake