Tomo-e Gozen Q1カメラ 始動!!

2018年2月20日

木曽観測所で開発を進めている超広視野CMOSカメラ「Tomo-e Gozen」の最初の四分の一(Q1カメラ)が完成し、観測を始めました。 Tomo-e Gozenカメラは最終的に84枚の35mmフルHD CMOSイメージセンサを搭載しますが、 カメラが巨大になるため、四分の一ずつ分けて製作して望遠鏡焦点面にて結合する方式をとります。 今回は、四分の一の筐体にセンサを21枚搭載した最初の実機が完成し、105cmシュミット望遠鏡へ搭載されました。 望遠鏡へカメラを搭載した2月19日は夕方からあいにくの曇天でしたが、観測チームは明け方まで天気の回復を待ち、見事ファーストライトデータの取得に成功しました。

first light image
ファーストライト画像 : ぎょしゃ座付近
 散開星団 M38 がセンサ11(左下コーナーのセンサ)に写っている
露光時間 10秒
※21枚のセンサの画像を並べて表示

area of first light image
ファーストライト画像の撮影領域と Tomo-e Gozenカメラの視野

Tomo-e Gozenカメラは、84枚の35mmフルHD CMOSイメージセンサを用いて、シュミット望遠鏡全視野である直径9°の視野をカバーすることを目指しています。 CMOSセンサは、現在天文観測の主流となっているCCDとは異なり、高速読み出しが可能なため、短い時間で変動する現象を捉えることができます。 大きさはまだ四分の一ではありますが、世界初の広視野高速CMOSカメラの誕生です。

Tomo-e Gozen Q1 camera
望遠鏡に取り付けられたTomo-e Gozen Q1カメラ(右上の1/4)
3/4(左上、左下、右下)は重量を模擬するダミーカメラ

Tomo-e Gozen Q1 camera (side)
斜めから見たTomo-e Gozen Q1カメラ
21枚のセンサを読み出すための電子回路がコンパクトにおさまっている

これまで試験機での観測を幾度か実施してきましたが、今回のQ1カメラは試験機ではなく実機です。2012年から活躍していた広視野モザイクCCDカメラKWFCに替わって、これからはTomo-e Gozenカメラが木曽観測所の主力観測装置となります。ついにTomo-e Gozenカメラの時代の始まりです。

Q1カメラの始動にともない、21枚のCMOSセンサが秒単位で掃き出す大量のデータとの戦いが始まります。本格的な大規模サーベイの開始に向けて、これまで経験したことのない大量のデータを処理するシステムや、効率の良い観測システムの整備を進めていきます。残り四分の三のカメラの製作も並行して進め、順次視野を広げていきます。いよいよ動き出したTomo-e Gozenカメラへ、引き続き応援よろしくお願いします!

Tomo-e Gozen Q1 and members
21枚のセンサが入ったTomo-e Gozen Q1カメラを囲んで

cake
ファーストライト恒例のケーキ
21本のローソクをセンサと同じ並びに配置!