2005.09.13 
 

6. 解説 3: MAGNUM 望遠鏡が捕らえた GRB050904
  図 3 : 赤方偏移の推定

 


■解説■
遠方の天体と我々のあいだにある銀河間ガスは ある波長より短波長の光を遮るはたらきがあります。 しかもより遠方の天体になるほどより長波長の光まで遮られるようになり、 その影響もより強くなります。このため遠方の天体においては 長波長の光(赤外線)では明るくても短波長の光(可視光)では非常に暗くなるような 特徴的なスペクトルを示すと考えられます。

上図はマグナム望遠鏡の観測によって求められた可視光から近赤外線の 各波長における GRB050904 残光の明るさを示しています(データ点)。 多波長画像からもわかりますように赤外線での明るさに比べて 可視光ではたいへん暗いことが示されています (図中点線は可視 I バンドのフィルタの透過率の波長依存性を示します)。 このデータを銀河間ガスによる減光の影響を 考慮したモデルと比較することで GRB050904 の赤方偏移を推定することができ、 マグナム望遠鏡の観測からは赤方偏移 z > 6.08 と推定することができました。 図中の破線はこのときの銀河間ガスの透過率の波長依存性を示しています。 この値はすばる望遠鏡による分光観測によって確定した 赤方偏移 z=6.29 とおよそ一致します。

 


 



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2* 解説 1: ガンマ線バーストについて
3* 解説 2: GRB050904 の発生と観測の経過
  解説 3: MAGNUM 望遠鏡が捕らえた GRB050904
4*  図 1: GRB050904 赤外線残光
5*  図 2: 可視赤外線多波長観測
6*  図 3: 赤方偏移の推定
7* 解説 4: マグナム(MAGNUM)望遠鏡