2005.09.13 
 

3. 解説 2: GRB050904 の発生と観測の経過

■ GRB050904 の発生■
発生時刻:2005年9月4日 1時51分44秒(協定世界時)
Swift 衛星バースト監視望遠鏡(BAT)による検出
発生位置:赤経(2000年分点) 0時54分50.8秒
赤緯(2000年分点) +14度05分10秒
うお座

■主な観測の経過■
発生からの経過時間 観測報告
Swift 衛星 BAT による検出
2.7分後Swift 衛星 X 線望遠鏡(XRT)による検出
1-18 分後TAROT 望遠鏡、BOOTES 望遠鏡により可視光残光を検出
3.0-7.4時間後SOAR 望遠鏡による赤外線残光の検出
他のグループの観測と合わせて赤方偏移が 5.3 以上を示唆
9.6 時間後MAGNUM 望遠鏡が残光観測待機状態に入る
気象条件が悪く観測は開始できず
12-13時間後 天候回復 MAGNUM 望遠鏡による可視光、赤外線残光の観測
多波長同時観測で赤外線でのみ検出
多波長の測光結果から赤方偏移 z > 6.08 と推定
1 日後 ESO VLT 望遠鏡による可視光、赤外線残光の観測
多波長の測光結果から赤方偏移 z = 6.10 (+0.37-0.12) と推定
3.5 日後 すばる望遠鏡による分光観測
赤方偏移 z = 6.29 (±0.01)

ガンマ線バーストの可視赤外線残光は数時間から数日で急速に減光してしまうため、 ガンマ線バーストが発生してからできるだけ早く観測を始めることが重要です。 またやはり急速に減光しているため、ある時刻におけるその天体の 可視光赤外線スペクトル(各波長における天体の明るさ)を得るためには 可視光から赤外線の多波長で同時に観測することも大切です。 GRB050904 の発生直後から世界各地で残光の観測が始まりましたが、 マグナム望遠鏡がもっとも早い時期に 可視光から赤外線の広い波長域を同時に観測することに成功しました。

なおマグナム望遠鏡による観測以外の世界各地の観測の経過は ガンマ線バースト連携ネットワーク(GCN) における報告に基づいて作成しました。

 


 


1* TOP
2* 解説 1: ガンマ線バーストについて
3* 解説 2: GRB050904 の発生と観測の経過
  解説 3: MAGNUM 望遠鏡が捕らえた GRB050904
4*  図 1: GRB050904 赤外線残光
5*  図 2: 可視赤外線多波長観測
6*  図 3: 赤方偏移の推定
7* 解説 4: マグナム(MAGNUM)望遠鏡