2005.09.13 
 

2. 解説 1: ガンマ線バーストについて

 
 


■ガンマ線バーストとは■
ガンマ線バーストとは遠方の宇宙からの突発的に短時間 (数秒から数十秒程度)、強力なガンマ線・X 線放射が観測される現象で、 この起源として現在もっとも有力な考えは、 太陽の数十倍の質量をもつ重い星がその一生を終えるときに ほとんど光速に匹敵する超高速のジェットをともなう超新星爆発が発生し、 このジェットがたまたま地球の方向を向いていたときに ガンマ線バーストとして観測されるというものです。 またガンマ線バーストはガンマ線・X 線ばかりでなく、 可視光や赤外線波長域において 発生直後に明るくその後急速に減光していく(数時間から数日程度) 「残光」現象を示します。

ガンマ線バーストおよびその残光は発生直後は非常に明るいため 数十億光年から百数十億光年の遠方で発生したものも観測可能で、 今回の GRB050904 以前においても赤方偏移 z=4.5 の ガンマ線バーストまで観測されていました。 このためガンマ線バーストとその残光の観測は、 もっとも遠方の銀河やクエーサに匹敵あるいはそれを超えて より遠方の宇宙を探るための新しい手段として期待が高まってきており、 現在ではガンマ線バースト残光の観測を 世界各地の多数の望遠鏡が競うようになってきました。

■ Swift 衛星について■
2004年11月に NASA によって打ち上げられたガンマ線バースト観測衛星で、 ガンマ線、X 線、紫外・可視光の観測装置を装備し、 これまでに数十個のガンマ線バーストを報告しています。 Swift 衛星のホームページへのリンク

 


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2* 解説 1: ガンマ線バーストについて
3* 解説 2: GRB050904 の発生と観測の経過
  解説 3: MAGNUM 望遠鏡が捕らえた GRB050904
4*  図 1: GRB050904 赤外線残光
5*  図 2: 可視赤外線多波長観測
6*  図 3: 赤方偏移の推定
7* 解説 4: マグナム(MAGNUM)望遠鏡