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東京大学アタカマ天文台 (TAO) 計画

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チリ水資源局の気象モニター観測がチャナントール山で始まりました

チャナントール山はチリを南北に貫くアンデス山脈北部に位置し、標高が高いにもかかわらずアクセスが良いこと、またアマゾン熱帯雨林に比較的近いことなどから、重要な気象データの測定地点となります。TAOプロジェクトでは、以前から地球環境問題への貢献を重要な柱として位置付けており、天体観測データの精度向上に気象観測を有効活用するための検討を進めてきました。

チリ共和国でも近年、地球環境問題への関心の高まりを背景に、自然エネルギーの利用や、気候と環境の監視に力を入れています。その一環として、チリ公共事業省水資源局(Direccion General de Aguas, Ministerio de Obras Publicas、以下DGA)はチリ全土に気象モニター装置を設置し、運営しています。

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▲図1: チャナントール山付近に設置されているDGAの気象モニター装置の位置(緑は稼働中、赤は停止中)。チリ公共事業省水資源局サイトより。

TAO設置場所の凍土について共同研究を行っている米アラスカ大学の吉川教授を交えて協議を重ねた結果、双方の研究に進展が見込まれることを確認し、TAOはDGAの気象モニター装置設置に合意しました。具体的には、温度湿度風向風速センサーや放射計、気圧計、降水量計などの測定機器をチャナントール山頂付近と中腹の2カ所に設置し、人工衛星を介してリアルタイムに気象データを取得できるシステムを構築します。DGAがシステムを開発して設置し、TAOは装置設置工事のサポートや運用段階の緊急時対応などを担当します。2021年10月にこの内容で覚書を締結し、2022年1〜2月に現地工事が実施されました。機器は正常に動作し、得られたデータはDGAのほか米国海洋大気局(NOAA)にも提供され、全世界に公開されています。TAOは吉川教授と進めている永久凍土の状態モニタリングに、このデータを生かす計画です。またTAOの天体観測運用時には、山頂施設に設置される大気CO2測定装置からのデータとあわせて、天体観測環境の確認や予測、データのクオリティコントロールなどにも活用していく予定です。

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▲図2: チャナントール山中腹に設置された気象モニター装置群
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▲図3: チャナントール山頂付近(TAOサイトの南側)に設置中の気象モニター装置群
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▲図4: 設置した山頂気象モニター装置群。崖の上にminiTAO望遠鏡が見える
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▲図5: チャナントール山中腹で気象モニターを設置中のDGA研究者。右がDGA雪氷学ユニット主任・Gino Casassa Rogazinski博士
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