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東京大学アタカマ天文台 (TAO) 計画

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TAO望遠鏡の観測運用棟の仮組試験が完了

TAO望遠鏡の観測運用棟

チャナントール山頂(標高5,640m)には、TAO望遠鏡を過酷な自然環境から守るエンクロージャと、TAO望遠鏡の科学観測とメンテナンスを遂行するための設備を持つ観測運用棟が建設される予定です(図1)。エンクロージャは直径25m、高さ24mの円筒型の建物で、中央に置かれる独立基礎の上にTAO望遠鏡が設置されます。エンクロージャの上部は水平回転が可能であり、開閉扉(スリット)を通して天体を観測します。

観測運用棟はエンクロージャの南側に設置される長さ27m、幅17m、高さ15mの3階建ての建物です。1階には発電機室、電気室、実験室、倉庫、ガレージなどが配置されます。2階には観測室、計算機室、ラウンジが配置され、最も天井が高い部屋には、鏡蒸着装置、鏡洗浄装置、メンテナンス用大型クレーンなどが設置されます。3階には実験室と倉庫が配置されます。観測運用棟の2階はエンクロージャの観測床(非回転部)とブリッジでつながります。TAO望遠鏡の主鏡を再蒸着する際には、主鏡は大型の台車に載せられてブリッジを渡り、観測運用棟内の鏡蒸着装置および鏡洗浄装置の位置まで運ばれます。TAO望遠鏡の運用の初期には、観測運用棟1階に設置された発電機で電力を確保しながら、2階の観測室より望遠鏡を制御して科学観測を実施します。また、観測運用棟は50km離れたサンペドロ・デ・アタカマのTAO山麓施設と無線通信で接続されるため、遠隔地からの科学観測も可能となります。近い将来、観測運用棟の電力と通信は、チャナントール山の山頂アクセス道路に沿って敷設される電力線と光ファイバ線により、外部と安定かつ高速に接続される予定です。

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▲図1: TAO望遠鏡のチャナントール山頂観測施設の完成予想図

国内仮組み試験

観測運用棟の鉄骨、壁をはじめとする構造部材は日本国内で製作されました。また、標高5,640mの過酷な環境での建設作業を確実かつ円滑に遂行するために、観測運用棟の鉄骨部材の仮組み立てを日本国内で実施することになりました。

観測運用棟の鉄骨部材の仮組み試験は埼玉県北部の加須市で2020年5月から実施されました。大部分の鉄骨部材を組み上げ、結合部の精度や強度、組み上げ時の寸法などを確認しました。また、鉄骨以外の部材との接合部の精度の確認もおこないました(図2, 3)。

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▲図2: 仮組み上げをした観測運用棟の鉄骨部材(埼玉県加須市)
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▲図3: 仮組み上げをした観測運用棟の2階部分

仮組み上げをした観測運用棟の鉄骨部材は2020年7月に解体されました。鉄骨とその他の建築部材は、チリまでの長期間の輸送や保管に耐えられるよう厳重に梱包された後、8船に分かれて横浜港から出港し、無事にチリのAngamos港に到着しました。この後、山頂での建設工事の開始までチャナントール山麓で保管されます。

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