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東京大学アタカマ天文台 (TAO) 計画

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梶田隆章教授(本学宇宙線研究所長)のチリ訪問と記念講演会

日本とチリは1897年に修好通商条約に署名し外交関係が樹立されました。その120周年にあたる2017年に一年を通じて両国で様々な記念事業が開催されています。その一環として、2015年ノーベル物理学賞受賞者で本学宇宙線研究所長 梶田隆章教授が6月24-27日にチリを訪問した際に、サンチアゴ市内の2か所で記念講演会が開催されました。また、講演会に先立って梶田教授はサンペドロ・デ・アタカマ市の中心部にあるTAO山麓研究施設を視察されました。

目次

チリ外務省での講演会

チリ外務省が主催する講演会は、6月27日午後3時45分から外務省17階講堂《Panoramic Salon》で開催されました。来賓として、在チリ日本国大使館平石大使夫妻、Guido Girardi Lavinチリ上院議員、Gabriel Rodriguezチリ外務省局長(エネルギー・科学・技術局)、チリ科学技術研究委員会(CONICYT)からMario Hamuy会長、Luis Chavarría天文プログラム長、チリ大学からEduardo Vera国際部長、Juan Carlos Letelier理事、カトリカ大学からPedro Bouchon研究担当副学長、Maria Elena Boisier研究担当部長が出席しました。

司会はチリ大学国際部長のEduardo Vera教授が務め、まず本学副学長の関村直人教授が挨拶され、本学は海外の大学との国際交流を積極的に推進しており、チリの大学との交流が更に発展することを望んでいると述べられました。 続いて平石大使は、東京大学はこれまでTAOやフォーラムなどの学術交流を通じて二国間関係の発展に尽くしてきており、その延長線上に本日の講演会が企画されたことは誠に喜ばしいことであると述べられました。 また主催者のチリ外務省を代表してGabriel Rodriguez局長は、両国は長年に渡り天文学を始めとする多くの科学技術分野で交流を重ねてきたが、本講演会を契機として他の物理学分野でも交流が活発になることを期待していると述べられました。

続いて梶田教授は“Unveiling the Secrets of the Universe with Neutrinos and Gravitational Waves”の表題で講演をされました。2015年ノーベル物理学賞の受賞理由となったニュートリノ振動の発見、本学が建設中の大型実験施設による重力波検出への期待、ビッグバン宇宙の謎の解明におけるそれらの研究の意義などに、約80名の政府関係者や学術関係者が熱心に耳を傾けました。講演終了後には梶田教授を囲んだ和やかな議論の輪ができ、今後の交流を確認しあって散会となりました。

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▲チリ外務省で講演する梶田教授
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▲講演終了後にチリ政府や学術関係者と歓談
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▲チリ外務省17階屋外での集合写真。左からChavarría CONICYT天文プログラム長、Bouchonチリカトリカ大学研究担当副学長、Veraチリ大学国際部長、関村副学長、平石大使、Rodriguezチリ外務省局長、梶田教授、Guido Girardi Lavinチリ上院議員、平石大使夫人、吉井TAOプロジェクト代表、Hamuy CONICYT会長

科学館での講演会

同日午前中には、梶田教授はサンティアゴ市郊外にある科学館"Museo Interactivo Mirador(MIM)"を訪問し、高校生を対象とした講演をされました。この科学館はインタラクティブな体験を通じて来館者に科学を身近に感じてもらい、チリの科学文化に貢献する目的で2000年に設立されました。本講演会にはチリの高校生やその教員など約100名が来場し、梶田教授がニュートリノ研究の内容をわかりやすく説明しました。講演終了後、参加者を代表して4名の高校生が、各自の質問を投げかけ、梶田教授が1つ1つの質問に丁寧に答えられました。その後、参加した高校生から、記念撮影をもとめられ、取り囲まれる一幕もありました。参加した高校生からは、「将来は、物理学者になりたいと思う」との感想が聞かれました。

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▲科学館で講演する梶田教授
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▲講演終了後の質疑応答の様子(進行役は左2番目の女性教師で、その右側に高校生男女2名が交代で着席して質問)

サンペドロ・デ・アタカマ訪問

講演会に先立って、梶田教授と関本副学長は6月24日-26日にサンペドロ・デ・アタカマ市を訪問し、6月25日には市中心部のTAOプロジェクト山麓研究施設にある研究棟の研究室、会議室、実験室、宿泊室などを視察されました。また、同日6月25日には国立天文台チリ観測所の阪本成一所長の案内で、国際電波干渉計プロジェクトALMAの山麓施設と山頂施設も見学されました。梶田教授は、TAO赤外線望遠鏡が早期に完成し、ALMA電波望遠鏡との波長連携観測が始まることへの期待を述べられました。

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▲TAO山麓研究施設を視察される梶田教授(左2番目)と関村副学長(右隣)
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▲国立天文台チリ観測所の阪本所長(左端)の案内で標高5000メートルのALMA山頂施設を見学される梶田教授(中央)と関村副学長(右隣)




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Coffee Brake
image1s.png ~チリで出会えるおいしいお酒~

チリにはPisco(ピスコ)と呼ばれるお酒があります。ピスコはブドウの蒸留酒で、アルコール度数は30度から50度くらいになります。チリの人は、このピスコにレモン汁、砂糖、卵白などを加えたカクテル「ピスコ・サワー」を好んで飲んでいます。レストランでも必ずメニューに載っているほどの定番の飲み物です。このピスコ・サワーは、レモンの酸味に砂糖の甘味が加わったさっぱりとした味のカクテルで、乾燥したアタカマ砂漠でカラカラになった喉を潤してくれるため、TAOメンバーにも、定番の(夜の)飲み物として人気です。日本からチリに視察にくる方々にもまずはお勧めする飲み物なのですが、長旅の後に口にするには、このピスコ・サワーは少々アルコールがきついようで、数口飲んで顔が真っ赤になる人が少なくありません。

さて、私こと天文センターの益原は、この度、本学本部国際企画課に協力して、TAOメンバーと共に梶田先生のチリ訪問に随行することになりました。サンペドロ・デ・アタカマでの初めての夕食時、梶田先生にも定番の「ピスコ・サワー」をお勧めしました。すると、意外にも「ピスコ本来の味を知りたいので、ストレートでください!」とニコニコしながらおっしゃいました。そうして、大きめのグラスに注がれたピスコ(アルコール度数40度!)をクイックイッとお飲みになりました。また、同じく注文したミディアムレアの分厚い牛肉の塊もペロリと完食されました。その後も顔色を変えることなく、おいしそうにピスコを飲まれる姿に、日々世界中を飛び回り、多忙な毎日を乗り切っているパワーの源を見たような気がしました!

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▲天文センターに常備されているお気に入りのピスコ
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