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東京大学アタカマ天文台 (TAO) 計画

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九州大学と株式会社環境GIS研究所との共同研究で
TAO望遠鏡ドーム内外の複雑な気流予測に成功!

九州大学応用力学研究所と株式会社環境GIS研究所との共同研究で、チャナントール山とTAO望遠鏡ドーム、観測運用棟の3次元形状データを構築し、数値風況シミュレーションによりTAO望遠鏡ドーム内外の複雑な気流を予測することに成功しました。

TAO望遠鏡ドームの設計を進める上で、観測データの質を大きく左右するドーム内外の気流の予測は必要不可欠です。現在、TAO望遠鏡の観測性能が安定して得られるよう、ドーム設計の微修正を進めています。今回の成功により、ドームの形状に応じた気流の詳細な予測が可能になりました。今後、ドームの設計修正と気流予測シミュレーションを繰り返し、より最適なドーム形状へと設計を練り上げていきます。

この気流予測シミュレーションは、観測時の気流の制御にも活かすことができます。シミュレーションで得られた気流パターンに基づき、ドーム開口窓の最適な開け具合を導き出すなど、ドーム完成後の観測運用時においてもTAOにとって欠かせない手段となります。

研究の概要

九州大学応用力学研究所の内田孝紀准教授は、ベクトル型スーパーコンピュータを計算機リソースとし、RIAM-COMPACT®(リアムコンパクト)数値風況予測モデルを用いて、TAO望遠鏡ドームの大規模な数値風況シミュレーションに成功しました。

地上からの天文観測は大気を通しての観測であるため、気流は観測データの質を左右する重要な要素です。例えば気温と望遠鏡の温度の差により発生する陽炎(かげろう)は天体像を悪化させてしまいます。TAO望遠鏡は世界最高水準の天文観測性能を有しますが、それを安定的に発揮させるためには、望遠鏡ドーム内外の気流を考慮して構造物の形状を最適化し、観測中には望遠鏡ドーム内の気流を制御することが必要となります。また、悪天候時における建物への積雪・着雪はその後の復旧作業と観測再開を妨げる要因となります。

上記の問題点・課題点を踏まえ、地理情報システム(GIS)を用い、チャナントール山とその山頂に建設予定のTAO望遠鏡ドーム、観測運用棟の3次元形状データをコンピュータ上に忠実に再現しました。得られた3次元形状データに対して、15cmの空間解像度で数値風況シミュレーションを実施し、望遠鏡ドーム内外に発生する複雑な気流の変化を再現することに成功しました。

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▲ 数値風況シミュレーションにより得られた、チャナントール山頂を通る鉛直断面内の風速分布
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▲ 数値風況シミュレーションにより得られた、TAO望遠鏡ドームと観測運用棟の鉛直断面内の風速分布
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▲ 数値風況シミュレーションにより得られた、TAO望遠鏡ドームと観測運用棟の表面圧力分布

本研究は、九州大学応用力学研究所、東京大学、国立極地研究所、株式会社環境GIS研究所による「数値風況解析と模型風洞実験による極地設営に関する共同研究:研究代表者 内田孝紀」により実施されました。

参考

本成果に関連する研究内容については、下記Webサイトにも掲載しています。

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