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東京大学アタカマ天文台 (TAO) 計画

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組織的若手派遣事業まとめの研究会開催

東京大学理学系研究科天文学教育研究センターと宇宙線研究所では、両機関が世界中に展開している下記のような宇宙観測拠点に若手研究者を派遣し、世界に通用する研究者を育成することを目的として、2010年より3年間、研究者海外派遣基金助成金(組織的な若手研究者等海外派遣プログラム)「グローバルな宇宙天文観測」を共同で行いました。

この組織的若手派遣プログラムの3年間の期間中、宇宙線研究所と天文学教育研究センターの多くの若手研究者が海外に渡航し観測・解析の経験を積むと共に、両研究機関の研究交流も進みました。更に、本プログラム期間中、2010年に大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)、2013年にTAO望遠鏡と、両研究機関の推進する大型プロジェクトの予算が次々に国に認められるという素晴らしい出来事もありました。

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miniTAO remotely observation
▲ miniTAO観測に派遣された若手研究者の様子

2013年4月22日、本プログラムを終えた成果報告の研究会を開催し、これまでの派遣の成果や関連分野の進展などについて情報交換を行い、本プログラムの重要性と今後もこういった機会を続ける必要性を確認し合いました。

組織的若手派遣事業まとめの研究会 プログラム

日時: 2013年4月22日(月)13:00-17:45
場所: 東京大学宇宙線研究所6階大セミナー室
講演プログラム:
セッション1 (13:00-14:00)
木戸 英治
(東京大学宇宙線研究所)
「TA地表粒子検出器による宇宙線観測」
多米田 裕一郎
(神奈川大学工学部物理学教室)
「TA大気蛍光望遠鏡による宇宙線観測」
芝田 達伸
(東京大学宇宙線研究所)
「小型電子線形加速器による大気蛍光望遠鏡較正」
池田 大輔
(東京大学宇宙線研究所)
「電波を用いた空気シャワー観測手法の検証実験」
セッション2 (14:15-15:00)
上塚 貴史
(東京大学理学系研究科天文学教育研究センター)
「miniTAOに見る中間赤外線地上観測の新たな可能性」
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館内 謙
(東京大学理学系研究科天文学教育研究センター)
「miniTAO近赤外線カメラで探るチリに埋もれた爆発的星形成銀河の形態形成」
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高橋 英則
(東京大学理学系研究科天文学教育研究センター)
「miniTAO1mで見えてきた大質量星クラスターの特性とTAO6.5mへの期待」
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休憩 (15:00-15:30)
セッション3 (15:30-16:30)
川田 和正
(東京大学宇宙線研究所)
「チベット水チェレンコフミューオン観測装置による100TeV領域ガンマ線の観測」
Motz Holger
(早稲田大学理工学術院理工学研究所)
「Observation with Ashra-1」
木坂 将大
(東京大学宇宙線研究所)
「パルサーにおけるプラズマのダイナミクスの研究」
齋藤 浩二
(東京大学宇宙線研究所)
「MAGIC望遠鏡による遠方ブレーザー天体の観測」
セッション4 (16:45-17:45)
宮川 治
(東京大学宇宙線研究所)
「計算機を用いたKAGRAのリアルタイム制御」
諸隈 智貴
(東京大学理学系研究科天文学教育研究センター)
「木曽観測所での広視野観測」
内藤 嘉章
(東京大学理学系研究科物理学専攻)
「The galaxy evolution in the dark matter halo, the physics of clustering」
百瀬 莉恵子
(東京大学宇宙線研究所)
「Star Formation On Sub-kpc Scale Triggered By Non-linear Processes In Nearby Spiral Galaxies」
懇親会: 18:00-20:00 於 柏キャンパス・カフェテリア

世話人:
梶田隆章・大橋正健・佐々木真人(東京大学宇宙線研究所)
吉井譲・土居守・宮田隆志・峰崎岳夫・諸隈智貴(東京大学理学系研究科天文学教育研究センター)

組織的若手派遣プログラムを終えた感想・メッセージ

本プログラムの中心的な役割を担っていただいた方々から、本プログラムを終えた感想・メッセージをいただきましたのでご紹介します。


理学系研究科天文学教育研究センターと宇宙線研究所の共同で実施された組織的若手派遣プログラムでは3年間大変お世話になりました。この間本当に多くの若手に海外に行く機会が与えられ、すばらしいことだと実感しました。急速に進む研究のグローバル化の時代にまさにふさわしいプログラムであったと思います。
また、この期間の最後にはTAO望遠鏡の建設予算が認められるというすばらしいニュースが飛び込んでくるなど、一緒に本プログラムを進めてきたものとしてうれしく思っています。今後の研究に大いに期待しております。
天文学・宇宙物理学の発展によって、ガンマ線や重力波を含む広い意味の宇宙線の研究と光学的観測に基づく天文研究の共同研究の重要性が急速に増していると実感しております。今後天文学教育研究センターと宇宙線研究所の研究交流の更なる拡大を進めていければと考えております。今後とも是非よろしくお願いいたします。

梶田 隆章 (東京大学宇宙線研究所所長 教授)


組織的若手派遣プログラムでは3年間に渡り宇宙線研究所に大変お世話になりました。プログラム代表として重しになっていただきました梶田先生、煩雑な事務仕事を引き受けていただきました大橋先生には天文センターを代表して感謝申し上げます。
世界に通用するリーダシップを備えた若手研究者を育成する目的で、両組織共同で7つの宇宙観測拠点に若手を派遣してきたわけですが、振り返ってみますと参加プロジェクトの研究、宇宙線と天文の交流、若手の育成というそれぞれの領域で実りある成果を上げることができたと思います。海外の砂漠や高山などの極限環境に長期滞在して帰還した若手からは、最前線の研究に従事した自信が見て取れ、今後の彼等の研究人生において貴重な財産になることは間違いありません。
この意義深い企画が終了するのは残念ですが、近い将来にもこのプログラムの発展形が企画され、また共同できる日が来ることを願ってやみません。

吉井 讓 (東京大学理学系研究科天文学教育研究センター長 教授)


宇宙線研究所が中心となっている宇宙線・ガンマ線・ニュートリノ・重力波を使った天体観測と、理学系研究科天文学教育研究センターが中心になっている光赤外線による天体観測とは、学術的に近いにも関わらず案外と交流が少なかったのですが、今回若手研究者同士がこの「グローバルな宇宙天文観測」を通じてしっかりと交流をもてたのは、たいへん素晴らしいことであったと思います。星の爆発や高密度天体の活動現象などが主な科学的研究対象ですが、これらの天体現象について、近い将来に大変活発に多角的な融合研究が始まることを確実に予感させるものでした。プログラムは一度終了をしましたが、同様のプログラムがすぐにもまた始まることを心から願っております。

土居 守 (東京大学理学系研究科天文学教育研究センター 教授)


私がこの事業の申請書を準備し始めたのは2009年の夏であったが、天文センターと共同申請することになった時から不思議なことが起きはじめた。まず、2010年早々にこの若手派遣の申請が採択された。その半年後には重力波プロジェクトが最先端研究基盤事業に採択された。それから3年間にわたりこの事業は粛々と進み、多くの若手研究者が海外に派遣された。そして、事業が終了する2013年初頭にTAOプロジェクトが予算措置されたのである。この事業ではグローバルでタフな若手研究者が多く育ったが、彼らが活躍できる場ができたことは素晴らしいことである。頑張ってほしい。そして、このような夢につながる若手派遣事業を是非、今後も続けてほしいと思う。

大橋 正健 (東京大学宇宙線研究所 准教授)

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