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東京大学アタカマ天文台 (TAO) 計画

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2009年1月 東広島天文台にてANIR赤外線ファーストライト

東広島天文台かなた望遠鏡にて、近赤外線観測装置ANIR が、赤外線によるファーストライト観測に成功しました。 この観測により、ANIRの全機能が設計どおり駆動することが確認でき、チリへと輸送して本番の観測に臨む体制が整ったことになります。

# メンバー : 本原、三谷、酒向、利川、大澤
# 日程 : 2009/1/23-27

東広島天文台1.5mかなた望遠鏡のカセグレン焦点に搭載されたANIRとANIR開発メンバー
図1: 東広島天文台1.5mかなた望遠鏡のカセグレン焦点に搭載されたANIRとANIR開発メンバー

1. ANIRの性能試験観測

今回は2008年12月に到着した本番用の赤外線検出器を 搭載しての観測でした。また、前回は未搭載だったフィルター交換機構に 広帯域フィルタ4枚、狭帯域フィルタ3枚も搭載されています。 さらに、新たにダイクロイックミラーを用いた可視光による同時撮像 ユニットも搭載されています。

  • 赤外線観測性能
    • 半値幅0.9秒角という、かなた望遠鏡でもトップレベルのシャープな星像を得ることができ、結像性能に問題がないことを確認しました。
    • 全フィルターを用いた撮像観測により、フィルターの性能に問題がなく、カメラの効率もほぼ設計どおりとなっていることが確認できました。
    • 望遠鏡に取り付けた読み出しノイズは20e- r.m.s.程度で、仕様以下の値であることが確認できました。
  • 可視同時撮像試験
    • ダイクロイックミラーを挿入した状態でも可視同時撮像ユニットも設計どおりの結像性能、および効率を達成していることが確認できました。
  • 自動観測試験
    • 望遠鏡との通信を行い、連携して1時間以上にわたる自動観測が行えることを確認しました。
    • また、可視同時撮像も同様に自動で行うことに成功しました。

東広島天文台1.5mかなた望遠鏡のカセグレン焦点に搭載されたANIRの様子 東広島天文台1.5mかなた望遠鏡のカセグレン焦点に搭載されたANIRの様子
図2: 東広島天文台1.5mかなた望遠鏡のカセグレン焦点に搭載されたANIRの様子

2. ANIRの画像

本観測で得られたANIRによる赤外線ファーストライト画像です。

オリオン座 トラペジウム (Pa-β H, Ks 三色合成)
図3: オリオン座 トラペジウム (Pa-β H, Ks 三色合成)
ふたご座 エスキモー星雲 NGC2392 (Y, Pa-β J 三色合成)
図4: ふたご座 エスキモー星雲 NGC2392 (Y, Pa-β J 三色合成)

3. 今後の予定

この観測で、ANIRの性能が当初の目標を達成しているとともに、 アタカマに輸送してチャナントール山頂での観測を行えるレベルまで 開発が完了したことが確認できました。
ANIRはその後三鷹に戻って細かい修正を施した上、 2009年3月末にチリ・アタカマへ向けて発送されました。 チャナントールでのファーストライト観測は2009年6月に予定されています。

(本原 顕太郎)
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