Distribution of B8 - A3 Stars near the Galactic Plane I. Galactic Longitudes 50 to 150


McCuskey, Houk
1971 AJ 76, 1117 - 1128




 アブストラクト 

 限界等級 V = 13 までの B8 - A3 星の星計数を銀河面に沿って l = [50, 150], b = [-5, 5] を行った。その結果、
(i) 表面密度マップにいくつかの高密度領域が現れた。
(ii) 太陽から 1 kpc 以内の平均空間密度が得られた。
 局所腕内の A-型星種族は腕の銀河中心側に集まる傾向があるようだ。l = [50, 70] r = [250, 500] pc の腕間空間の A 型星種族の数は、l = [95, 150] の局所腕 の太陽近傍の半分以下である。結果の詳細はヒストグラムで示す。


 0.イントロダクション 

 A-型星種族の特性 

 Blaauw 1955, Blaauw et al 1959, Stromgren 1966, Yuan 1969 は銀河系 構造の研究における A-型星の重要性を強調してきた。それらの星の群れ集まる 傾向、中間年齢 5 108 年、銀河面への集中度、小さな特異運動 (10 - 15 km/s)、速度楕円体の主軸方向の銀河中心方向からのズレ、これら 全ては A-型星種族が渦状腕起源であることを物語る。
 現在、これらの星と太陽近傍での渦状腕構造との関係は V = 7 mag より明 るい星の運動とそれより暗い星に対する空間分布の解析に基づいている。ここ では運動の解析は行わない。

 分布の全体像 

 これまでの B8 - A3 星空間密度の解析は太陽から 2 kpc 以内に多くの箇所 に著しい密度超過を見出した。それらは多数の領域探査に基づいており、 McCuskey 1965, 1966 にまとめられている。
しかし領域探査では太陽付近の全体 像がつかめない。粗い代わりに全体像を目標に、 Warner-Swasey で 1966 から 探査が開始された。その目的は、

 サーベイの目的  

(i) 太陽から 1.5 kpc 以内の B8 - A3 型星の銀河面上の位置を決める。

(ii) 同じことを G8III - K2III 星に行う。これらは (i) 星が進化して辿り つく星である

(iii)渦状構造、星種族の研究に役立ちそうな箇所を探す 


 1.観測データ 

 1.1.13等サーベイ 

 観測概要 

 観測は Burrell 24 インチシュミットに 1.8° 対物プリズムを付け、 コダック IIa-O 乾板 20 分露光で行った。A-型星を 13 等まで検出可能である。 観測は l = [50, 150], b = [-5, 5] で行った。場所によっては b = ±10 まで伸ばした。


図1.V = 13 より明るい B8 - A3 星の数/平方度の分布。等密度線は 10 星/平方度間隔。 (a) l = [50, 75] (b) l = [75, 100]  
 A型星の選別 

 A-型星種族はバルマー線から容易に識別できる。 B8 - A0 では K 線が見えない。 A2, A3 星には弱い K 線が現れる。また、バルマージャンプの強さで明るい光度 クラスの A-型星を主系列星から分けることが出来る。


図1続き.(c) l = [100, 125] (d) l = [125, 150]


  













 1.1.1.観測者による系統差 

 1.1.2.乾板画像の質と限界等級 

 1.2.10等サーベイ 

 暗い A-型星のデータを補足する意味で、Nassau, Morgan 1951 が行った OB 星探査の乾板を調べた。これらは分解能が低く、限界等級は V = 10 等である。 V ≤ 10 mag の星の平方度当たりの星数の銀経による変化を図2に銀緯毎に 示す。銀緯帯は (e) = [-5, -3], (d) = [-3, -1], (c) = [-1, 1], (b) = [1, 3], (a) = [3, 5] である。




 1.3.7等サーベイ 

 さらなる補足データは Seydl 1929 の収集による HD カタログ中の V ≤ 7, b = [-10, 10] の B8 - A3 星の1平方度当たりの数を図3に示す。図には銀経 30度間隔のデータを滑らかに結んだ曲線を示す。


図3. log N(7) の銀経による変化。 N(7) = V 7 等より明るい B8 - A3 星の数/平方度。データは HD カタログより。

図2.4つの銀緯帯、b = (e) [-5, -3], (d) [-3, -1], (c) [-1, 1], (b) [1, 3], (a) [3, 5] に沿った log N(10) の変化。 N(10) = V 10 等より明るい B8 - A3 星の数/平方度。


 1.4.星間減光 

 星間減光 Av = 3.1 E(B-V) は二つの評価を行った。一つは Neckel 1967 もう一つは FitzGerald et al. (1968) である。  データから r = 0.5, 1.0, 1.5, 2.0 kpc における Av を l, b 1度間隔で 決めた。



表1.B8 - A3、V ≤ 13 mg 星計数のまとめ。

 2.データ解析 

 2.1.星の表面密度 



 平均表面密度 

 図1には V ≤ 13 mag の B8 - A3 星表面密度が等高線で示されている。 この表示に使われた星の係数は表1にまとめてある。l = [50, 150] での 全領域 1351 deg2 の平均密度は 41.6 星 deg-2 で ある。巾1度の帯での平均密度は b = -4 付近での 62.6 星 deg-2 が最高である。

 高密度領域 

 図1を見ると、いくつかの高密度領域に気付く。N(13) ≥ 90 の 位置を 表2に示した。高密度領域の全てが b < 0 であることが注目される。観測 領域を銀経により次の4つに分ける。

領域A l = [50, 75]: 局所腕(Carina-Cygnus)とサジタリウス腕の間領域
領域B l = [75, 100]:局所腕に沿った方向
領域C l = [100, 125]:局所腕を越え、ペルセウス腕の低銀経端の方向
領域D l = [125, 150]:局所腕に直交し、ペルセウス腕主要部の方向

B8-A3 星高密度域は領域CとDにある。領域AとBの表面密度が低いのは近傍 星間雲がこの方向で強いことも一因である。しかし、そこでの分布が滑らかなことは 高銀経領域での密度の激しい昇降と著しい対比をなす。

 領域A,Bには本当に A-型星が少ない 

 図4には b = [-3, 3] での平均星間減光と N(13) の銀経による変化を示す。 それを見ると
(i) 領域C,Dでは星数の銀経変動は小さい。しかし、銀緯変動は大きい。
(ii) l < 95 の領域 A, B で星数が約 1/2.6 倍と劇的に低下する。
(iii) 領域A,Bでは、 l = [75, 85], b > 0 のグレートリフトの強い 星間減光を除いては、領域C,Dより Av が小さい。

領域A,Bでの減光が領域C,Dに比べて低いことから、我々は領域A,B で A-型星表面密度が低いのは本当に星数が少ないせいであると結論する。

 領域C,Dでの星数銀緯変化は減光が原因 

 表3にはA−Dの各領域ごとに ⟨ Av(500) ⟩ と ⟨ log N(13) ⟩ の銀緯変化を示す。星計数に含まれる A-型星の大 部分は V = [10, 13] でつまり r > 500 pc にある。明らかに領域Aにお ける ⟨ Av(500) ⟩ と ⟨ log N(13) ⟩ の銀緯変化は 非常に小さい。しかし、領域 C,Dにおいては b < 1 での星数面密度 の増加は明らかで、 Av の急激な低下に起因する。

図4.平均星間減光の銀経変化。上枠:b = [-3, 3] の log N(13). 下枠: Av(0.5 kpc) と Av(1 kpc)。 l = 80 付近の破線は b ≥ 0 の大きな減光を示す。 l = 80 付近の実線は b ≤ 0 の平均減光を示す。


表2.B8 - A3 星の密度超過, N(13) ≥ 90 個 deg-2 領域。



表3.log N(13) と Av(500) の銀緯による変化。


図5.下:b = [-3, -1]、中:b = [-1, 1]、上:b = [1, 3] における、 と N(13) の銀経による変化。

 図5= N(13) と Av(1000) の変化 

 図5には、N(13) の銀経による変化を3つの銀緯帯に分けて示す。比較のた めに r = 1000 pc までの減光 Av(1000) の変化も示した。

(i). N(13) は銀緯が上がると共に減少していく。特に領域C,Dでその傾向が 著しい。これは星間減光との相関が強い。

(ii). 領域C,Dでは b = [1, 3] 帯で N(13) にファクター 3 - 4 の変動がある。 星間減光はこの銀経帯では極めて一様である。従ってこの変動は星の数の実際の 変化を示している。領域Dは局所渦状腕を直交する方向であり、 A-型星の増加が 強く目立つ。


(iii). 領域C,Dの b = [-1, 1] 帯では、銀経変化に伴う比較的小規模の N(13) 変動が見られる。一方、 b = [-3, -1] 帯では星の欠乏が現れる。 実際 l = 100 から 150 にかけて、N(13) はファクター 2 から 3 低下する。 そこでの星間減光の変化は僅かである。

(iv). l = [90, 105] では銀河面及びその下側に A 型星の大きな密集域が存在 する。これは以前 Schalen 1928, Risley 1943, 1949, Wernberg 1941 が研究 したケフェウス座の巨大複合体である。この詳細な解析は現在進行中である。

(v). Chartrand 1970 は ワーナー・スワゼイ天文台において l = [70, 100], b = [-2, 2]、V ≤ 11.5 の星のスペクトル型と等級の研究を行った。この 領域では、V = [9.75, 11.5] の B7 - A1 星の数が、銀河面の上方では銀経 と共に明確に減少していき、銀河面下方では増加していく。銀河面上方の優位 が銀河面下方の優位に変わるのは l = 87 付近である。これは、我々の V ≤ 13 データの結果と一致する。Chartrand 1970 によると V < 9.75 の明るい星 にはこの現象が現れない。興味深いのはグールドベルトが銀河面上方から下方 へと銀河面を横切るのは l = 90 である。暗い A-型星はこのグールドベルトと 何らかの関係が有るのかも知れない。


 2.2.A-型星の空間分布 



 D(r) = 空間数密度 

 N(13), N(10), N(7) を内挿し、N(m) を定め、

 A'(m) = [m-1/4, m+1/4] にある 100 deg2 当たりの星数

を求める。星間減光の距離による変化も前に示した文献から得られる。この二つ から

 D(r) = 距離 r における 1000 pc3 当たりの星数

が得られる。

 図6=空間密度の(l、r)表示  

 Mo = +0.9, σ = 0.7 を仮定した。値は Blaauw 1963 から採った。 図6は b = [-3, 3] の平均 D(r) の変化を示す。図には Vulpecula (l = 62), Cygnus (l = 75 - 85), Cepheus-Lacerta (l = 105 - 115), Cassiopea (l = 133) 方向の局所的な A-型星の集合が見える。それらは大部分 r < 750 pc である。

図6.B8 - A3 星 b = [-3, 3], r = 250, 500, ... pc での空間密度の銀経変化。





 A-型星分布のその他の特徴 

 A-型星分布のその他の特徴としては、

(i) l = [100, 150], r = 250, 500 pc
D(r) = 0.4 (l = 150) へと緩やかに低下して行く。

(ii) 領域 C,D r > 1000 pc
領域 C,Dでは、r = 1000 pc の先では D(r) が漸減していく。

(iii) 領域 A,B r > 500 pc
領域 A,Bでは r = 500 pc の先で D(r) が急減する。

l = [100, 150], r = 250, 500 pc では D(r) = 1 (l = 100) から (iv) l > 140, r = [1500, 2000] pc
l > 140, r = [1500, 2000] pc で D(r) が増加する。





図7.太陽を中心にした円筒壁上のB8 - A3 星空間密度ヒストグラム。




 図7=空間密度の(l、b、r)表示 

 より詳細な7図では、空間密度を (l, b, r) の関数として表示した。 この図の特徴を以下のようにまとめた。

 領域A l = [50, 75] 

 l = [55, 65], b = [1, 3], r = 250 pc に星の集団がある。この集団は距離 の増加と共に速やかに消滅する。McCuskey 1965, 1966 による以前の同領域の 研究でも太陽から 500 pc くらいまでの距離に A2, A3, A5 星から成る高密度 域が指摘されていた。より早期の星はこの密度超過には貢献していない。
 b = [-1, 1] 帯では空間密度の銀経沿いの変化は弱い。r = 250 pc での平均 空間密度は = 0.8/1000pc3 で、 = 0.5/1000pc3 に落ちる。
 b = [-3, -1] 帯には D(250pc) > 1/1000pc3 の局所的密度超過 が存在するように見える。
( 図7a ではどこも D(250) > 1 だが? log D の間違いか?)
しかし、一般的傾向としては、l = 50 から 75 にかけて D は低下して行く。 この低下傾向は r = 500 pc にも見られる。

 領域Aはサジタリウス腕とシグナス局所腕との間の腕間領域である。 Klare, Neckel (1967), Sim 1968 はこの方向に OB 星が殆ど見られないことを報告した。また、 Kerr 1970 は A-型星の検出距離区間では中性水素の密度が低いことを示した。 強調しておきたいのは、今回のように星間減光の強いところでの空間密度の 見積もりは誤差が大きいことである。領域Aでは r = 1 kpc で Av = 0.7 - 2.8 mag である。

 領域B l = [75, 95]  

 この領域はシグナス腕の方向に沿っている。l = [75, 85] の星間減光は特に 銀河面上と銀河面上方で非常に大きい。図4a に示されるように、 r = 1 kpc で Av = 4 mag に達する。図7a, b には b > -1 で D(250) の極度に高い 値としてこの効果が現れる。
( 強い減光が D(250) を押し上げる 効果を持つとはどういう意味か?)
銀河面下方、図7c ではこのような高い D は現れない。
現時点では銀河面上方 l = [75, 85] での D(250) > 2 という高い値には 疑問が付く。
("2" でなく、"20" の間違いだろう。そう 言えば前にも > 1 という変なのが。)
空間密度の解析は減光が強まる距離に強く影響される。この方向では様々な 種類の A-型星に対して多くの Av と空間密度の評価が行われてきた。例えば、 Uranova 1970, Grigoreva 1970 を見よ。それらは、D(250) = 0.5 - 1, D(500) = 0.5 - 1.1 である。しかし、彼らが使った星間減光は、Av(500) = 0.1 - 1 mag. Av(1000) = 0.5 - 3 mag である。これに対し、我々は近傍の減 光にずっと大きい値( 図4a)を採用している。それが我々の D(r) が太陽近傍 で大きい理由である。

 我々の D(250) は複雑な領域ではファクター 2 くらいの不定性がある。し かし、距離に対し密度勾配が負であることは事実に見える。 l = [75, 85] 区域で、r = 500pc から 750 pc の間に密度がファクター 5 - 10 減少する ことを見出した。r = 750 pc から 1000 pc にかけて密度はさらにファクター 5減少する。前に引用した文献でもそれが述べられている。

 500 pc 以内で A-型星が集中しているという結果は、以前 McCuskey 1965, 1966 がもっと狭い範囲の研究から出した結論と一致する。r > 500 pc では D(r) < 0.2 である。注意しておきたいのは、この銀経区間では早期 A-型星が、 Dickel et al. (1970) が描いたシグナス渦状構造の内側に、集中することである。 Kerr (1970)

  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.


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