The Loss of Large Amplitude Pulsations at the End of AGB Evolution


Engels, Etoka, Gerald
2018 IAU Coll. 343, ??




 アブストラクト 

 我々は 2013 年からナンシー電波天文台を用いて 100 個以上の銀河円盤 OH/IR 星のメーザーモニターを行っている。メーザー強度の変化を用いて中心星の変化を 調べた。  我々は AGB - post-AGB 遷移の際に大振幅変光がどのように失われるかを理解 したいと考えている。振幅がゆっくりと縮小していき脈動が消えていく過程がありそう な仮定と、我々は予想している。


 遷移天体とは 

 AGB - post-AGB 遷移のモデルでは進化タイムスケールはマスロス変化に関 する仮定に依存する。マスロスは晩期 AGB における 10-5 - 10-4 Mo/yr から post-AGB 星の 10-8 - 10-7 Mo/yr へと落下する。AGB ではマスロス率は変光周期の関数 として決まるが、脈動が停止してから惑星状星雲における輻射駆動星風が始ま るまでの期間は拘束がない Miller Bertolami (2016) 。  AGB 進化終末期に周期 700 - 2000 日の L-AGB 星は大きなマスロスを示す。 その後、殆ど非変光の S-pAGB星(非変光星も含む)へと進化するが、それらの 星は post-AGB 初期にあると考えられている。どちらの時期も星本体はダスト シェルに埋まっていて、 OH 及び H2O メーザーが放射される。

 S-pAGB 星 

 S-pAGB 星が post-AGB 期にあることは、それらのいくつかが広がったシェルを 持つ Engels (2007) 、つまり それらが最近マスロスを低下させた、という観測から支持される。 また、その他の S-pAGB 星がはっきりした双極流を持つという観測も post-AGB 期を示すものである。それらの双極流天体は OH 17.7-2.0 = IRAS 18276-1431 (Sanchez-Contreras et al 2007), OH 53.6-0.2 = IRAS 19292+1806 (Sahai et al 2007), 噴水星例えば W34A = OH 31.0+0.0 = IRAS 18450-0148 (Chong et al 2015) がある。少なくとも高質量 星では、 星の脈動が止まり、AGB - post-AGB 遷移が起きるのは星がダスト層 の奥深くにある間である。

 サンプル 

 S-pAGB 星は非常に赤いので可視や近赤外ではモニターができない。したが って、 OH メーザーモニターが有効である。基本サンプルとして、 Baud, Habing, Matthews, Winnberg (2007) のフルサンプルを Engels, Jimenez-Esteban (2007) 、つまり が改訂したものを用いた。この明るい OH/IR 星サンプルは 115 星を含み、 その殆どが l = [10, 150], b = [-4,4] にある。これは 1612 MHz OH メーザー の Fν > 4 Jy サンプルとして完全なものである。
(でも南天を欠いてる )
その明るい部分は Herman, Habing (1985) 、つまり がモニターし、S-pAGB 星の中に振幅と周期の異なるいくつかのサブグループ があることを述べている。現在まさに L-AGB から S-pAGB へ移る途中にある 星はこの中に潜むのかも知れない。

 モニター観測 

 それらを探すために 2013 年からナンシー電波望遠鏡を用いた 1612 MHz OH メーザーモニターを開始した。我々のサンプル中で L-AGB と S-pAGB 星の割合 はほぼ同数である。OH 光度が大体同じと仮定すると、これは高マスロス期 (dM/dt > 10-5 Mo/yr) が初期 pAGB 期と同程度 Engels (2002) であることを意味する。OH/IR 星はホットボトムバーニングを経験して炭素星 になっていない星なので M > 3 Mo に違いない。 Miller Bertolami (2016) のモデルによると、初期 p-AGB 期から中心星が可視で見えるようになるまで の時間 τtr < 1000 yr と予想される。p-AGB の末期には ダストシェルは散逸してメーザー放射は消える。 「明るい OH/IR 星サンプル」に対して Engels, Jimenez-Esteban (2007) が得た最小時間 2000 年を仮定すると、高質量 AGB 星が厚いシェルの OH/IR 星として現れるのは数千年である。

 現状 

 2018年現在 52 星 = 34 L-AGB + 18 S-pAGB と特性付けられた。さらに 28 星 は特性を確定するため 2018/2019 でモニター中である。残りの星は 2020/2021 での観測を予定している。一応モニター終了した星も Wolak, Szymczak, Bartkiewicz, Gerald (2014) が OH 17.7-2.0 で見出したような長期傾向を見出すため時々覗いている。 Herman, Habing (1985) で L-AGB とされた星は確認されたが、S-pAGB とされた星のいくつかは P > 1000 日の L-AGB に再分類された。彼らがモニター観測しなかった 15 OH/IR 星の内、9 星は L-AGB であった。残りの OH 強度変化は不規則で S-pAGB らしい。 Blocker (1995) が予想したような短周期、小振幅の変光星は見出されなかった。 Engels, Etoka, West, Gerald (2018) が見出した、周期が L-AGB 的で振幅が非常に小さい星は現在のところ遷移天体 に最も近い天体のようだ。