Pin望遠鏡操作マニュアル

 本章では観測上の一般的な注意点、シュミット望遠鏡の新制御系を利用するために必要な操作方法 と各観測装置に共通すると考えられる操作を観測の手順に沿って説明します。なお、新制御系では 装置との連携操作が可能ですが、これについては装置毎に操作が異なるので各装置の章をご覧くだ さい。また、新制御系の設計コンセプト・構造の詳細は97年光赤外ユーザーズミーティング集録を ご覧ください。

Pinペ-ジ更新情報
Pin観測を始める前に
Pin望遠鏡・ドームの電源
Pin制御系計算機の立ち上げ
Pin望遠鏡・ドームの制御/操作
Pin観測終了時の操作
Pinその他の制御
Pinトラブル対策(Q & A)
Pinその他 br> Pin画像の説明


□お知らせ&更新情報


観測を始める前に

 観測を始める前に一般的な留意点を掲げます。(ここでは建物を特に明記しない場合は、本館の観測室を指すことにします。)

望遠鏡・ドーム電源

 通常、観測者は電源を操作する必要はありません。ここでは全ての電源が入っていない場合の説明を示します。通常の場合は読み飛ばして下さい。 尚、観測所の計算機群はUPS電源でバックアップされています。(順次対応中)


望遠鏡制御GUIの立ち上げ

 望遠鏡やド-ムの操作は観測室のPC「encke」を用いて行いますが、ド-ム制御室内から制御する場合は直接UNIXマシンの「ontake」を用います。以下では「encke」からの立ち上げ方法を記します。

  1. 「encke」にユーザー:controlでloginする ※パ スワードは正面のホワイトボードを参照
  2. 「encke」上でターミナル(GNOME)を用意し、telgui.shを実行する。
    [encke:control ~]$ ./telgui.sh
    実行すると、sshで「ontake」にユーザー「control」でloginし、望遠鏡制御GUIが立ち 上がる。この時パスワードを聞かれるので、ホワイトボードを参照してパスワードを入力して下さい。
  3. 望遠鏡制御GUIが立ち上がります。GUIは以下の図のようになっています。
  4. 必要であれば、環境GUIの「DomeLight」をクリックしてドーム内の灯りをつけ、ドーム内監視モニターでドーム内を確認して下さい。


画像をクリックすると拡大して見えます。



GUIの画面は、左側には上から5つのwindowがあり、

右側には これ等が正常に動いているかはJSTが正常に表示(止まっていない)されていることで確認できます。




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望遠鏡・ドームの制御/操作

 操作はGUIの画面で パラメ-タ入力(+)マウスクリックか、(Manual Operation window)からコマン ドを手入力して行います。観測で使うほとんどの操作はGUIから行なうことができますので、GUIによる操作について説明します。

※もし手入力をしたい(する必要がある)場合はGUI画面右上の[HELP]を押して下さい。HELP画面
(ヘルプウインドウはこちら)が現われ、その中でトピックを選択すると関連するコマンドの名称、必要なパラメーターとそのフォーマットが書かれたwindowが現われます(英語です)。
※[STOP]ボタン(状態表示window)を押すと、望遠鏡・ドームに関するポインティング動作の緊急停止ができます。

  1. 観測前に

    観測室制御卓に向かって左のTVディスプレイにて、ド-ム観測室内の情况を確認します。この時ド-ムライトを点灯させて確認します。「encke」のGUI画面にて[Env.]を選択し[DomeLight]を押します。消すときは再度[DomeLight]を押します。以上安全を確認してから観測操作を行って下さい。(「encke」の前面に【作業中】の札が降りている場合は絶対に望遠鏡やド-ムは動かさないで下さい。

  2. 観測での操作

    1. ドームスリットの開閉
      GUI画面左上の[File]プルダウンメニューから[Environment]を選択します。 ドームスリットを開閉するには[Slit]と書かれた下の[open]か[close]を押します。[II]を選択すると開閉を中止します。(ドームスリットはステータスが無いため、開閉はドーム内カメラで確認することをお勧めします。)



    2. 望遠鏡の制御
      望遠鏡の<指向window>を使います。上下に三種類の表示がありますが、上から順にそれぞれ、 天体のカタログ位置、観測時の目的位置、現在の望遠鏡の位置を示します。

    3. 望遠鏡をある天体に向ける時は以下の手順で行います。
      • 方向、分点をR.A.、DEC、Equinoxの下の欄に入力します。推奨するFormatは、R.A.は ZZ:ZZ:ZZ.Z、Dec.は±ZZ:ZZ:ZZ.Zです。
      • 状態表示WindowのFocus欄にFocus値を入力します。CCD観測などでフィルター毎に違うFocus値を設定します。
      • [Convert]ボタンを押して観測時の分点に直します([Convert]の両横に表示されます)。 この時に望遠鏡の offset値(単位:arcmin)が指定されていればoffsetを加えた値で計算されます。
      • [Tel. Point]を押します。



    4. 望遠鏡・ドームの移動確認
      • ミラーカバーが開いている時は、ミラーカバーを閉めてから望遠鏡を移動させます。
      • これで望遠鏡・ドーム・フォーカスが指定された位置へ移動します。
      • 望遠鏡・ドーム・フォーカスが動いている間は右側の状態windowの[Mode]が[Pointing]となっています。これが消えたら移動完了です。
      • Pointingが終了すると同時にドームは自動的に望遠鏡追随モード「Dome Auto」に切り替わります。通常は意識する必要はありません。また、Pointing終了後は再度ミラーカバーが自動で開きます。
      • 左下、右下のQ、S、Fは駆動モードがそれぞれQuick、Slow、Fineであることを示します。 (Nrest/Zrest の時は「Quick(Q)」に Pointing終了後は(S)==>「Fine(F)」にな ります。)

    5. フォーカスの移動
      Focus値を<状態window>の[Focus]の横の欄に入力し、[Focus Point]を押します。[Mode]欄に [Pointing]が点灯しますがこれが消えたら移動完了です。大きく移動する際は望遠鏡の絵の横の [Focus]ボタンをクリックし、focus speedのslowとfineのうち[slow]を選択するとすばやく移動 します。星像のFWHMが3″以下の時はfocusを0.05位で決定しないと像が変化します。
      ※focusの pointingは移動先に指定した値よりslow/fineで0.02/0.01手前で移動が止まります、当面 その分補正して入力してください。

    6. ソフト「Handset」の操作について
      望遠鏡移動速度の変更と移動、フォーカスの移動、望遠鏡シャッターの開閉はソフトハンドセット画面から行なうことが可能です。まずGUI画面左上の[File]というプルダウンメニューをクリックすると[Handset][Env.][Windscreen][Read File][Quit]という5つの詳細設定メニューが出てきます。ここで[Handset]を選ぶと、ハンドセットの画面が現われます。表示では緑色のボ タンが現在選択されている状態を表わします(GUI画面からの望遠鏡の移動はレスポンスが悪い(1秒程度をラグ)ので正確なレスポンスが重要なときはハードのハンドセットを直接使って下さい)。



    7. 観測天体の登録
      観測天体が多い場合は、ファイルから天体の方向と分点を自動的に読み込むことができます。ファイルの書式は観測天体の天体名、赤経、赤緯、分点(区切りはスペース、スペースの数は任意、分点の後は何を記入してもよい)となっています。天体の情報を記したファイルをディレクトリObj_lists/に置いておきます。詳細設定メニューで[Read File]を選択すると左図のようなwindowが現れ、この中からファイルを選択すれば右図のように天体リ ストが表示されます。天体をクリックして選べばRA,DEC,Equinoxの値がファイルから読み 込んでセットされます。右側はメモとして利用できます。




    8. フラット画像の取得について
      ドームフラット画像を取得するためには、まず望遠鏡とドームを所定の位置に向ける必要があります。実際の制御を流れに沿って説明します。
      • 状態表示Windowの下(ドームの画の横)にある[DomeFlat]ボタンを押して、[New]を選択してください。==> 望遠鏡とドームがドームフラットポジションへ移動します。
        <<ランプの制御は「encke」で行います。参考のためランプの制御方法を観測者のためのページから抜粋します。>>
      • 「encke」でドームフラット用の光源をつけます。
        encke:control% ./winFLAT
      • フラットランプ制御用GUIで、ランプの電源をonにし、ランプの明るさをNDフィルターの値を変えることで調節します。
        ※NDフィルターの変更には時間がかかります




    9. 補足
      ※明示的に[Dome Auto]にしたい場合は[Dome Auto]ボタンを押します。
      ※North Restに向けるときは[Tel. Nrest]ボタンを押します。
      ※天頂に向けるときは[Tel. Zrest]ボタンを押します。
      ※左下、右下のQ、S、Fは駆動モードがそれぞれQuick、Slow、Fineであることを示します。North/Z Restの時はQuickに 観測時には天体に向けた直後はFineになっています。

      ※望遠鏡の制御にトラブルが発生した場合は control@ontake のホームディレクトリ で「get_status」を実行してください。望遠鏡のステータスがファイルに書き出されます。トラブルの原因究明に重要な情報となります。



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観測終了時の操作

観測を終了する際にはドームスリットを閉めて制御プログラムを終了します。手順は

観測終了時には、観測レポートの記入もお願いします。



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その他の制御

その他として重複する説明もありますが、個別の制御方法について説明します。以下の項目の中には「 CCD 」による観測には必要の無いものも含まれています。

  1. ミラーカバーの開閉
    <状態window>の[Mcover]をクリックして、[open][close]から選択します。

  2. 時刻について
    制御用のワークステイションontakeは0.3秒?の精度で時間を合わせます。望遠鏡(PIO)の時計は制御プログラム起動時に自動的にセットされますので、観測を始める ときに時報で時計を合わせる必要はほとんどありません。再セットが必要なときはktermを開い てホームディレクトリで「timeset」コマンドを実行して下さい。パラメータは不用です。

  3. フィルターの選択
    望遠鏡内蔵のフィルターを使うときは<状態window>の[Filter]ボタンを押します。[0]、[1]、 [2]、[3]のボタンが現われますから選択します。

  4. プレートホルダーの出し入れ
    CCDの観測では使用しませんが、写真乾板を使用する際に必要です。状態windowの[Holder]ボタンを押し、[In]、[Out]を選択します。

    • 望遠鏡駆動速度の変更には[R.A. Mode]或は[DEC. Mode]の下のボタン[Q]、[S]、[F]を選択 します。
      下の[RA+][RA−][DEC+][DEC−]と書かれたボタンを押すと望遠鏡を移動できます。
    • フォーカスの移動ができます。移動速度は<状態window>の望遠鏡の絵の横の[Focus]で指定 されているモード(slow/fine)です。
    • このウインドウを消すには[END]を押します。



  5. 望遠鏡の環境設定
    今度はGUI画面左上の[File]の詳細設定メニューで[Env.]を押してみましょう。 様々な環境設定ができるようになっています。
    • ドームスリットを開閉するには[Slit]と書かれた下の[open][close]を選択します。[II]を選択すると開閉を中止します。
    • ドームの回転には[Dome Rotation]では矢印のかかれた方向のボタンを押します。
    • ドームライトの制御は[Dome Light]の下のボタンを押します。
    • ドームファンの換気には[Dome Fun]の下のボタンを押します。
    • 補正板についているヒーターの作動には[Heater]押します。
    • 時計駆動を切るには[Clock Off]を押します。
    • 赤経あるいは赤緯軸をFREEにするには[R.A.Free][Dec Free]を押します。[Free Gaurd] をおすとFree状態にできなくなります(常に駆動がかかる)。
    • Fineで望遠鏡の移動速度を変更するときは[R.A. Fine Speed] [Dec Fine Speed]で[1]、[2]、 [4]、[6]を選択すれば1秒当たり1、2、4、6秒角となります(defaultは2秒角)。
    • このウインドウを消すには[END]を押します。

    ※現在では利用できませんが、以下のような機能もあります。
     乾燥空気を鏡筒内に送り込むには[Dry Air]と書かれた下のボタンを押し、[Mirror]あるいは[C.P.]を押すと主鏡あるいは補正板の口から乾燥空気が流入します。
     補正板に温風をあてるには[Warm Air]を押します。



  • 天体位置の微調整

    チップ上で理想的な位置に天体をいきなり移すことは難しいでしょう。天体をチップ上の理想的な 位置に移すには観測室左端のPC「Chaus」のBITRAN CCDカメラを使って望遠鏡の方向を微調整します。



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    トラブル対策

    Q:何かのトラブルで望遠鏡が動かない。
    A:取りあえず現況を把握するために、ontakeのホームディレクトリで「get_status」 コマンドを実行してください。後に不具合状況の確認に重要な情報が記録されます。 また、その時の状況(GUI上のJST時計が動いているか、「Message window」に 「busy」が表示されているか)をメモしておいて下さい。次に、GUIを再度立ちあ げ直します。GUI画面のメニューバーのFileで[Quit]を選択してX-windowを終了 して下さい。'./telgui.sh'で再度GUIを立ちあげます。

    Q:ontakeとPIOとの通信ができていない。
    A:制御用WSのontakeとPIOのGPIB接続を確認します。ontake側とPIO側のそれぞれ新制  御系とラベルが貼ってあるケーブルを接続して下さい。

    Q:表示が変らなくなり、操作ができない。
    A:consoleの画面に 'ERROR M|' 或は 'ERROR 2|'が続けて出ている場合はGPIB通信に異常  がおきており、一度立ちあげ直します。GUI画面のメニューバーのFileで[Quit]を選択して  X-windowを終了して下さい。'.remote_nanawarai'で再度GUIを立ちあげます。

    Q:望遠鏡シャッターとミラーカバーを閉めずに望遠鏡を動かしたら反応しなくなりました。
    A:consoleに'Error 2'とか'Error M'等と続けざまに出ているときはGPIBが異常になっていると  きです。GUIを一度終了して再び'.remote_nanawarai'を実行して立ちあげなおして下さい。

    Q:望遠鏡が動きません。
    A:望遠鏡は天頂角が83度を越えた場合は動かなくなるように設計されています。装置を交換し  たり液体窒素を補給した後はこの角度を越えていることがありますので、鏡筒を少し持ち上げ  てから再操作してみて下さい。

    Q:X-windowが突然落ちた。
    A:GPIB等は停止してもprocessは走ったままになっています。GPIB等の再起動を繰り返すと、  それだけprocessの数が増え、増えすぎるとX-window自身が死んでしまいます。この時は  rebootしなければ仕方がありません。そうならないよう普段から ps -aux  などとしてと書かれたprocessの数をチェックしておいて下さい。増殖し過ぎた  processを殺すには一度procc自身を殺す必要があります。

    Q:異常なフォーカス値がGUI画面に現われます。
    A:鏡筒内の電源ボックス(筒内ランプがついているもの)のコネクターがゆるんでいないかチェックします。所員が行います。



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    その他



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    画像の説明

    これまで取り上げた画像の説明です。


    制御用のGUI画面


    制御用GUI画面で右上の[HELP]押したときに現れるヘルプ画面


    制御用GUI画面で左上の[File]を押したときに現れる詳細設定プルダウン メニュー


    詳細設定メニューで[handset]を選択したときに現れるハンドセット画面


    詳細設定メニューで[Environment]を選択したときに現れる環境設定画面


    詳細設定メニューで[Read File]を選択したときに現れる画面


    観測天体リストの形式


    ドームフラット用ランプの制御画面


    マニュアル(TOP)




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