観測者のためのページ

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2010 12/21 改訂     by T.Aoki

2K-CCD「簡単」観測マニュアル

■ 最初に

現在、木曽観測所では、殆どの観測をリモートで行っています。
2K-CCDの観測では、本館観測室にある、パソコン「encke」と「nanawarai」を用いて行います。「encke」では、「ontake」に接続して望遠鏡制御を、「nanawarai」では「ayame」に接続してCCD(messia IV)の制御を行います。
観測支援システムとして、「chausu」で
視野モニターを運用しています。視野は53'×44'で、2K-CCDの視野とほぼ同じです。また、降雨警報機やドーム内監視モニターもあります。降雨警報機は1滴の水滴にも反応する優れものですので、是非御活用ください。
さらに強力な観測支援ツールとして、赤外雲モニターも運用中です。ウェブブラウザで「himawari」にアクセスすることで見ることができます。同じページ内に、温度、湿度、風速(本館外部の雨の当らない場所にセンサーがあります)のグラフも表示されます。赤外雲モニターのページは、観測所内LANから見ることが出来ます。

■ 観測準備

最初に、望遠鏡制御用のGUIを、次にCCD制御用のGUIを立ち上げ、データ保存用のディレクトリを作成します。

● 望遠鏡制御GUIの立ち上げ
  1. 「encke」にユーザー:controlでloginする ※ パスワードは正面のホワイトボードを参照
  2. 「encke」上でターミナル(GNOME)を用意し、telgui.shを実行する。telgui.shは望遠鏡制御プログラムを立ち上げるスクリプトです。
    [encke:control]$ ./telgui.sh
    実行すると、sshで「ontake」にユーザー「control」でloginする。passwdを入力すると自動的に、ontakeでスクリプトを実行した後、望遠鏡制御GUIが立ち上がる。
  3. 望遠鏡制御GUI上で「File」「Env」を選択し、環境GUIを立ち上げ、ドームスリットを開ける
  4. 環境GUIの「DomeLight」をクリックしてドーム内の灯りをつけ、監視モニターで望遠鏡の周囲が空いていることを確認する


● CCD制御GUIの立ち上げと、データ保存用ディレクトリの作成

  1. 「encke」上で望遠鏡制御GUIが立ち上がっていることを確認する。※先にmessiaを立ち上げると正常に動作しません
  2. 「nanawarai」にてユーザー「control」のホームディレクトリ上で「2kobs」を実行します。2kobsは観測装置の制御関連プログラムを全て立ち上げるスクリプトです。
    nanawarai:control> ./2kobs
    実行すると「nanawarai」上に iraf を立ち上げ、ds9を開きます。また、自動的に「ayame」にloginし、 ※ログインパスワードを入力する必要がある。パスワードは正面のホワイトボードを参照、データ保存用ディレクトリを/data_klccd_tmp/以下にyyyymmddという名前で作成(>mkdir 20071130↓)します。(すでにある場合には作らない)、引き続き messia制御GUIを別ウィンドウで立ち上げるようになっています。沢山ウインドウが開きますので、ログインパスワード入力ウインドウを見失わないよう気を付けて下さい。
    ※現在、データの保存場所として「nanawarai」の/data_klccd ディレクトリを使用しています。「ayame」上でも /data_klccd_tmp/ としてNFSマウントしています。
    ※ 観測期間中に 2kobsを再立ち上げしない場合は、観測日毎に手動でデータ保存ディレクトリをayame上に作成しなければなりません。
  3. 「messia」制御ターミナル上で「OBS」を実行する
    ROOT)OBS
    これで、制御コマンド入力待ち状態
    OBS)
    になります。
■ 観測

積分時間が5分以内の場合には、オートガイダーなしの観測が可能です。5分以上の場合には、オートガイダーを使用してください。詳細なマニュアルは「オートガイダー」こちらを参照ください。

● 一般的な観測の流れ
  1. 望遠鏡制御GUIに目的天体の座標を入力し、「convert」「Tel Point」を押して望遠鏡を動かす。
  2. CCD制御GUIに、データ保存ディレクトリ、天体名、観測者、天候、シーイングサイズを入力し、「Setup」を押す。
  3. フィルターの設定をmessia IVのターミナルで行う。(観測時に使用可能なフィルターの一覧は ayame:/home/klccd/messia4/local/filter.tab でみることが可能。)
    例1: OBS) filter R # Rフィルターを入れる
    例2: OBS) filter # 現在入っているフィルターを表示する
  4. フィルターをセットするとfilter.tabに記載されている フォーカス値に自動的のセットされる
  5. 積分を開始する
    例1: OBS) exp 30 #30秒積分の場合
    例2: OBS) bias #biasを取る場合
    例3: OBS) bias 5 #biasを5枚連続して取得する場合
● 補足 ● フィルターの種類とフォーカス値との関係(くわしくはこちらをご覧ください)
フィルターの種類とフォーカス値
フィルター名フォーカス値測 定 日
U
25.75
2009 3/11
B
25.72
2009 3/11
V
25.95
2009 3/11
R
25.95
2009 3/11
I
25.97
2009 3/11

■ オートガイダ

  1. 「nanawarai」で、オートガイド制御用GUIを立ち上げます。実際には「norikura」に、autoguideコマンドを使ってログインします
    [klccd@nanawarai ~]$ ./autoguide
    ssh login in kaos@norikura ...
    kaos@norikura's password: *****
    ※ この時、[ds9]ウインドと、[AUTO GUIDER CONTROLLER]ウインドウ(+テキストウインド)が開きます。
  2. おまかせでオートガイドを実行する場合は、GUI中程の[FULL-AUTO GUIDE]ボタンを押します。
  3. マニュアルでオートガイドを行う場合は、[MANUAL SETUP]の[Get a full images]を押して、画像を取得します。
    1. [ds9]の画像から、サチっていない星を探して、その X,Y 座標を入力します。
    2. [Get Image(MANUAL)]を押します。※40 x 40 ピクセルの画像を切り出します。
    3. [START AUTO GUIDING]を押します。※オートガイドがスタートします。
    4. オートガイドを中止する場合は新たに開いたウインドウの[STOP GUIDE LOOP]を押します。※オートガイドをストップします。

詳しくは
オートガイダーを御 覧ください。
■ ドームフラット

  1. 「encke」で、フラットランプ制御用GUIを立ち上げます
    encke:control% ./winFLAT
  2. 望遠鏡制御GUIで「Dome Flat」を押し、「new」を選択すると、ドームと望遠鏡がフラット取得用の配置になるよう動き出します
  3. フラットランプ制御用GUIで、ランプの電源をonにし、ランプの明るさをNDフィルターの値を変えることで調節します ※NDフィルターの変更には時間がかかります
  4. 積分を開始します
    例1: OBS) flat 30 #30秒積分の場合
    例2: OBS) flat 5 10 #5秒積分を10枚取得する場合
  5. ドームフラットの取得を終えたら、ランプを消します
フィルターごとのフラット観測の設定(最新版)
フィルター名ND値積分時間カウント値備考
UNONE300s10,0002008.Dec.04 ランプ交換
B1.040s28,0002008.Dec.04 ランプ交換
B1.4120s28,0002008.Dec.04 ランプ交換
V1.015s29,0002008.Dec.04 ランプ交換
V1.440s25,0002008.Dec.04 ランプ交換
R1.412s25,0002008.Dec.04 ランプ交換
I1.460s27,0002008.Dec.04 ランプ交換

参考のため、2008年12月04日以前の値を載せておきます。()
フィルター名ND値積分時間カウント値
B1.460s24,0002007.Aug.20 ランプ交換
V1.428s28,0002007.Aug.20 ランプ交換
R1.48s26,0002007.Aug.20 ランプ交換
I1.450s28,0002007.Aug.20 ランプ交換

■ 観測終了

  1. 望遠鏡制御GUI上で「Tel Nrest」を押す
  2. 望遠鏡制御GUI上から環境GUIを立ち上げ、ドームスリットを閉める
    ※1: 望遠鏡の動きが終了しないうちにドームスリットを閉めようとすると、GUI上で正常に終了しているように見えても実際には閉まらないことがありますので御注意下さい。
    ※2: 終了時に、望遠鏡の駆動モードが「Q」になっていることを確認してください。「Q」以外のモードでは、恒星時駆動が作動し続けてしまいます。
  3. 観測終了時(観測しなかった日も)には、こちらのページから観測レポートの作成をお願いします。
■ データのバックアップ

木曽観測所では、現在データの保存を目的として、CD-R または DVD-Rを「2部」作成して保管しています。このバックアップメディアの作成は観測者に行って頂いています。
バックアップメディアの作成には「nanawarai」が利用できるようになっています。
バックアップメディアとして CD-R と DVD-R を利用できます。DVD-R を利用する場合には、複数日のデータの保存に使用してください。メディアの作成には、xcdroastを用います。
こちらにマニュアル(pdfファイル)を用意してありますので参考にしてください(同じものがnanawaraiにも備え付けてあります)。

■ トラブルの対処法