Z=0.004 等時線の特徴

主な進化ステージの開始と終了時の質量 

 右の図1を見ると、Z=0.004は0.019より少し下、つまり進化が早いことが分かる。

 図2は時間tをそのまま縦軸に取った。Z=0.019, 0.008で見られたM=2Mo付近でRC開始 時期が伸びる現象は起きていない。図3は図2の拡大である。

 図3を注意して見ると、Mi=2.5-1.7MoでのRC寿命の拡大期のMi=1.7Mo付近の様子見える。 AGB寿命がMi>1.6Moで伸びる様子も細かい線間隔の拡大として見える。


図1 進化ステージの開始・終了質量

図2 図1と同じだが縦軸をtにとった。

図3 図1の拡大図。質量ー時間曲線の傾き変化が良く分かる。
主な進化ステージの等時線上質量幅 

 下の図は等時線上で各進化ステージが持つ質量幅を示したものである。t= 1.5Gyr - 0.5Gyr で RC のΔM が幅広のピークを持つこと、RC幅が急変する t=1.5Gyr 付近 でAGBがピークを示すことが目立つ特徴である。


 AGBピーク付近の拡大を図5に示す。図ではAGBをRGB先端より下と上、 RGBをAGB開始Lより下と上で分けてある。従って「下AGB」と「上RGB」 が同じLの領域をカバーする。AGBは上も下も同じような単純ピークを示す。 対して、「下RGB」のΔMは年齢と共に増加していき、 「上RGB」は1.3Gyrで少し幅広のピークを示す。この現象の詳しい説明は不明。
図4 等時線上の質量幅

図5 等時線上の質量幅(拡大)

 下に示すのは上で見た質量幅同士の比を取ったものである。RCのΔM が t=1.5 Gyr を境に急変したが、それを反映し、ΔM(AGB)/ΔM(RC)にはt=1.5Gyrの前後で段 差が生じている。大雑把に言うと、t<1.4Gyr ではΔM(AGB)/ΔM(RC)=0.08, 1.3 -1.4GyrでΔM(AGB)/ΔM(RC)=0.5に達する鋭いピークを示し、t>1.5Gyr でΔM(A GB)/ΔM(RC)=0.1 に落ち着く。  一方、右のΔM(下AGB)/ΔM(上RGB)はAGB開始とRGB先端の間でAGB, RGB 両者が重な り合う所での比を見ている。こちらも t=1.4Gyr 付近に細いピークを持つ。その 他には、t=0.1Gyrから1Gyrに かけて、時間と共にΔM(下AGB)/ΔM(上RGB)は次第に上昇して0 から 0.7 まで 達する。つまりt=0.8ー1 Gyr では下AGBと上RGBの数はほぼ等しい、1.5 Gyr を 越すとこの比は0.3-0.2くらいになることも大きな特徴である。
図6 ΔM(AGB)/ΔM(RC)

図7 ΔM(下AGB)/ΔM(上RGB)


主な進化ステージの寿命 

 様々な等時線をならべ、マス一定での寿命をグラフの内挿から求めた。

 右図8はそうして求めたAGBとRCの寿命の比である。Z=0.019の場合幅の広い小さな ピークがあったが、こちらでZ=0.008の時と似てMi=1.7Moに鋭いピークができている。 AGB/RCの値は Mi=1.6と1.8Moではもう下がっているのでピーク幅は相当狭い。このピークは、RC寿命 の急変がMi=1.6-1.8Moで起き、AGB寿命の方はMi=1.6-1.8Moで急変するという微妙なずれ の結果生じたものである。
図8 Δt(AGB)/Δt(RC)

図9 AGB寿命

図10 RC寿命