前駆惑星状星雲 IRAS18276-1431 (OH17.702.0) のOH メーザーモニター観測 から、単調な減衰に加えて数回のフレアが観測された。 | フレアの放射は強く偏光しており、外層の切り離された稠密な領域から出て いた。双極流により外層に掘りぬかれた双極ローブの軸に沿って 磁場が揃っているらしい。 |
IRAS 18276-1431 = OH 17.7-2.0 は 1974 年の発見以来強い OH メーザー源 であった。中心星は K5 より早期で有効温度 4000 - 10000 K である。天体に は光学的に厚い分離シェルが付属し、SED は前駆惑星状星雲に多い双峰型で ある。水メーザーは 1987 年以降徐々に減少し、 1991 年に消失した。 | OH メーザー層は球対称から大きく外れている。MERLIN 観測は 1612 MHz で 4.6 mG, 1667MHz で 2.5 mG の磁場強度を明らかにした。これは外層部の形状 を形作るのに重要であろう。 2010 年の観測は 43 GHz で以前はなかった弱い SiO メーザーを発見した。 |
1612, 1665, 1667 MHz OH メーザーはナンシー電波望遠鏡で 2002 - 2009 と 2014 に月二回の割合でモニターされた。強く偏光した幾つかのバーストが 3 本のライン全てで発見された。最も強いやつは 73 km/s 赤方変位した成分 で、6年間続いた。赤方成分の積分フラックスは 2.5 年間 3 倍に増加した。 | 我々の観測と文献データを合わせると、この天体の 1612 MHz 強度は 36 年 間減少している。減少率一定を仮定すると、 1612 MHz 放射は 2030 年までに 検出限界を下回る。 22 GHz 水メーザーは 56.3 km/s に 25 Jy で検出された。これは 20 年振 りの再出現である。 |
2006 年と 2007 年には MERLIN を用いた 1612 MHz 変光マッピングを行った。
ビームサイズは 0,"45x0,"25 である。電場ベクトルの空間分布は外層部におけ
る一定方向の揃った磁場の存在を確認した。バーストは内枠に示すように、
外層の南部で起きた。そこでの磁場方位角は -57° で、外側での方向と
-110° 異なる。 バースト領域のサイズは 25 mas である。そこは
赤外双極ローブに近い。 図2.1612 MHzでの 電場ベクトルの分布。ベクトルの長さは線形偏波率を 表す。黒線= 1999 年 5 月。赤破線= 2006 年 5 月。青点線= 2007 年 6 月。 内挿枠はバースト領域の拡大図。線のカラー=速度。 |
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