A Spectroscopic Atlas of post-AGBs and PNe from IRAS PSC


Suarez, Garcia-Lario, Manchado, Manteiga, Ulla, Pottasch
2006 AA 458, 173 - 180




 アブストラクト 

 PNe と似た FIR カラーを持つ星の可視スペクトルを調べた。計画スタート は 15 年前で、当時サンプルの大部分は未同定であった。可視スペクトルと ファインディングチャート、それに改良された位置座標を 253 IRAS 天体に与 える。  post-AGBs = 103, 21 = transition sources, 36 = PNe, 38 YSOs, 5 = peculiar stars, 2 = Seufert gals. 49 = 可視天体無しで、post-AGBs では ないか。それらの統計的性質を調べた。


 1.イントロダクション 

 PNe 探し 

 これまでに IRAS カラーに基づいて、PNe 候補星のリストが発表されてきた。 例えば、Preite-Martinez et al 1988, Pottasch et al. (1988), van der Veen, Habing, Geballe (1989), Ratag et al 1990, Hu et al 1993 などである。

 post-AGB 探し 

 post-AGB 探しは赤外超過を持ち、可視光で明るい天体を狙って行われた。 良い例は Oudmaijer et al 1992 と Oudmaijer 1996 である。残念なことに、 多くの天体では分光による確認が行われていない。その理由の一つには IRAS 位置の精度が 15" - 30" と低いことにある。このため、込み合った領域 では可視同定が特に困難になる。
 論文の内容 

 ここでは、改善されたIRAS 天体の位置と可視スペクトルをアトラスとして 示す。 SED の考察は別論文にまとめる。観測は 1988 ‐2003 に掛けて行われた。 その間には個々の天体について、Manchado et al 1989,Garcia-Lario et al 1991, Bobrowsky et al 1998, Garcia-Lario et al 1999 などが 発表された。


 2.選択基準」 

 Pottasch 基準 

 基本的には Pottasch, Olling, Bignell, Zijlstra (1988) を採用し、そこに少し改良を加えた。

 (1) 精度 

 QI(12) = 2, 3, QI(25) = 3, QI(60) = 3.

 (2) カラー 

 F(25)/F(12) ≥ 2   (log(25/12) ≥ 0.3)
 F(60)/F(25) ≤ 1/0.35   (log(25/12) ≤ 0.456)


 (3) F(100) 

 もし QI(100) = 3 ならば、F(100)/F(60) ≤ 1/0.60
 (4) 変光 

 VAR ≤ 60 %

 既知天体

 最初の GLMP カタログの半数は既知 PNe であった。それらはこの論文の スペクトルアトラスから外した。また約 20 % は YSO であり、5 % はセイ ファート銀河であった。それらも外した。

 追加基準 

 Garcia-Lario は最近選択基準を少し変更し、カタログに新たに 100 天体を 追加した。それは FQUAL(12) = 1 だが残りの基準は満たすというものである。 それら新天体の幾つかも観測の最終年に観測した。

 同定結果 

 総数で 253 のIRAS 領域が調べられ、 205 光学対応天体が同定された。この post-AGB 星サンプルは IRAS フラックスリミッテッドという点ではほぼ完全 である。唯一このサンプルから落ちる post-AGB 星は 領域 VII にある C-リッチ post-AGB 星であるが数は少ないだろう。



表1.観測ログ

 3.観測 

 表1=観測ログ 

 観測は March 1988 - June 2003 に掛けて、ESO 1.5 m, 3.6 m 望遠鏡、INT 2.5 m 望遠鏡、 Calar Alto 2.2 m 望遠鏡で行われた。表1に観測ログを示す。

 天体選択 

(i) IRAS 位置付近に DSS 乾板上単独の可視天体アリ。追加情報が無ければソレ。

(ii) IRAS 位置エラー楕円内に数個の似た等級の星がある場合。NIR 測光観測を行い、 最も赤い、明るい星を選ぶ。NIR 情報がない時はそれら全ての分光観測を行う。

(iii) どの候補天体もはっきりした特徴がない。または可視対応天体が見つからない場合 はウーン。後で議論。

 観測フィールド 

 253 IRAS フィールドのリストは表3に与えた。ここに、    [12]-[25] = -2.5 log(F12/F25)

   [25]-[60] = -2.5 log(F25/F60)

である。CCD 画像も撮られた。その観測ログを表2に示す。

表2.撮像観測ログ






 表4。post-AGB 星の特性。 











 表5。transition objects の特性。 







 表6。PNe の特性。 



 4.結果 

 4.1.分類 

 信頼性コード 

 スペクトル分類の結果は表3に示す。 post-AGBs と YSOs との区別は難しい。 天体が既知 SFR の近くにある場合は YSO と見做した。光度クラス V の場合も YSO とした。これらの分類不定性を考慮して、表4−6では2文字の信頼性コ ードを採用した。最初の A-D は可視天体の同定の信頼度を、次の A-D は 進化段階の分類に対する信頼度を表す。

 分類結果 

 採用したサンプル選択基準は進化した天体を選ぶ有効な方法であることが 分かった。209/253 =81 % は進化した(晩期型?)星であった。その大部分は post-AGB 星と考えられる。103 星に可視対応天体(表4を見よ)があり、49 星は強い減光で隠されている。それらの可視対応天体は見出せなかったが 大部分は隠された post-AGB 星と考えることにした。 それらは表3に "No counterpart" と記される。我々はまた "transition sources” を 21 個見出した。表5を見よ。
(これも書きっぱなし)
38個=17% が YSO であった。また 2 個が銀河であった。それらの分類は表3に 示した。

 4.2.可視スペクトル 分類 

 4.2.1.MK 分類 



 参照スペクトル 

 スペクトル分類はスペクトルライブラリーを参照して行った。双方を連続光 レベルで 1 に規格化して、吸収線の強度のみを使用した。 S/N が低いデータは Silva, Coenell 1992 のサンプルを使用し、 S/N が高い場合は Jacoby et al 1984, Pickles 1998 を参照した。
 post-AGB 星スペクトル 

 表4には post-AGB 星と分類された星のリストを示す。表5には transition sources のリストを1示す。

 4.2.2.PNe 減光定数、励起クラスの決定 

 赤化補正 

  PNe のバルマー減衰を用いて減光係数 c を決めた。赤化補正には Whitford 1958 の 減光則を用いた。励起クラスには Morgan 1984 の輝線強度比を用いた。表6を見よ。  


 5.結果 


図1a.可視で明るいpost-AGB 星の銀緯分布

 5.1.銀緯分布 

 銀緯分布の比較 

 進化段階の関連を探るために図1に post-AGBs, PNe, 隠れたpost-AGBs の銀緯分布を示す。統計テストの結果は3集団に有意な差はなかった。 しかし、隠された post-AGB 星の分布巾は他より狭く見える。これは隠された post-AGB 星が高質量で、進化が速く、ダスト雲が散逸していないためと 考えられる。

図1b.PNe の銀緯分布




図1c.可視で見えない post-AGB 星の銀緯分布


 5.2.post-AGB 星のスペクトル型分布 

 スペクトル分布はモデルと合わない 

 図2から明らかなように post-AGB 星のスペクトル型は M から B 型まで 広く分布している。各スペクトル型の個数比は進化滞在時間の比と見做せる。 van Hoof et al 1997 のモデルはスペクトル型の個数比を予測している。 そこで カイ二乗検定を行ったが、観測個数比はモデルと合わないという結果 になった。1

 質量の効果? 

 不一致の原因として考えられるのは、post-AGB 星のコアマスが様々で 観測スペクトル分布はそれらの重ね合わせになるからというものである。

図2.post-AGB 星のスペクトル型分布





図3.我々のスペクトルサーベイのサンプル星二色図




図4.post-AGB 星と transition objects の位置。

 5.3.スペクトル型進化 

 5.3.1.全体の分布 

 星種族の領域 

 図3には、我々のサンプルを二色図上にプロットした。transition objects は post-AGB に加えた。図の破線領域は夫々、

(b). OH/IRs

(c). T-Tauris と Herbig Ae/Be stars

(e). CHIIRs

 post-AGBs 

 post-AGBs は (b), (c), (e) と重ならない領域に 95 % が分布する。

 YSOs 

 若い星 は通常 (c) に位置するが、 (e) にも散らばる


 小さなアステリスク=隠され可視対応星が見えない天体の幾つかは (e) に 分布し、それらが YSO であることを示唆する。残りの星は [25]-[60] = -0.2 の辺りに分布する。(b) に近い。post-AGB であることを示唆する。

 5.3.2.post-AGBs と transition objects 

 図4 には、post-AGBs と transition objects の二色図上の位置をより詳しく 示した。Hα 輝線を出す天体は白丸で囲った。二色図上の位置と進化段階の 間に1対1対応は付けにくい。  コア質量毎ならば対応が付くのかも知れない。


 6.結論 

 253 IRAS天体= 152 post-AGBs + 21 transition objects + 36 PNe 最大の post-AGB 星のスペクトル観測を行った。  銀緯分布から隠された post-AGBs は高質量の可能性が高い。 スペクトル型分布はモデル進化とは合わない。質量巾の影響かも。


 表3。IRAS フィールドリスト。 





















 図A1. post-AGBs スペクトル 















































 図B1. transition objects スペクトル 















 図C1. transition objects スペクトル 





















 図D1. young stars スペクトル 





















 図E1. 銀河 スペクトル 







 図F1. 特異天体 スペクトル