シグナスX領域が視線方向にいくつかの星形成域が重なったものか、距離 1.5
- 2 kpc にある単一の星形成複合体なのかが議論されてきた。 KOSMA 3m 電波
望遠鏡による 13CO 2-1 サーベイを MSX 中間赤外画像と合わせて、
複合体の空間構造を調べた。分子ガスの物理状態を以前より詳しく調べた。
シグナスXを 13CO 2-1 により分解能 130″ で
10.8 deg2 マップし、もっと小さい領域を 12CO と
13CO 3-2 ラインで分解能 90″ マップ観測した。
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13CO 2-1 で 90 個の雲塊を検出した。その励起温度 10 - 30 K,
密度 1.3 103 cm-3, 半径 1 - 8 pc, 質量は
数百 - 数万 Mo である。北側にある雲複合体の主要部は M = 2.8 105
Mo で DR 21, W 75N を含む。南側は M = 4.5 105 Mo で、IC 1318b/c
AFGL 2591を含み、物理状態が異なる。13CO 放射は MSX の中間赤外
と強い相関を示す。Cyg OB2 と Cyg OB9 がシグナスXの分子ガスに影響を及ぼ
している証拠が見つかった。このように、シグナスX内の分子雲複合は全て、
チャネル及び 位置-速度図上でつながったグループを形成している。そして一部
は UV 光との作用を示している。したがって、この領域で見られる
天体の大部分は Cyg OB2 と同一距離 1.7 kpc にあると看做せると結論する。
この値は Cyg B1, OB9 とも一致する。
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