M31 南西軸上中心から 26 kpc (5 スケール長)の2領域の解析。一つは
主軸上、もう一つは 18' 離れたワープ領域にある。 HST Advanced Camera
for Surveys は主系列ターンオフ(12.5 Gyr) にまで届いた。ワープでの
色等級図フィットから星形成史を構成した。4.5 Gyr 昔まではほぼ一定の
星形成率できたが、そこで急激に落下し、約 1.5 Gyr そのままで、その後
1.5 Gyr の間強い星形成活動(バースト)が続いた。この時期にワープの星
の 25% が形成された。このバーストにはメタル量の低下が伴っていて、これは
外部からの低メタルガスが流入した証しと看做される。3 Gyr 前のバーストの開
始は M31 と M33 が最後に遭遇した時期に当たる。
![]() 図1.Irwin et al 2005 の INT/WFC による RGB 表面密度マップに 重ねた HST 観測領域。 ![]() 図2.ワープ(左)と円盤外縁(右)の色等級図。左上の矢印は Schlegel et al 1998 による赤化と局所赤化を示す。右図のCMDの巾は微分赤化による。 ![]() 図6.ワープ領域の星形成史。(a) SFH, (b) AMR, (c) 形成星質量とメタル量 (d),(e) 観測とモデルのヘス図。(f) 残差, (g) ポアソンσ で規格化した残差 | Baker et al 2011 の円盤外縁部データを再解析して同様のCMDフィットを 行った結果、ワープと同じ時期のバーストを検出した。M 31円盤外縁部での 星形成史は 12 - 13 Gyr 昔まで遡れる。いっぽう、 M 33 では星形成の開始 は M 33 より 2 Gyr 遅れて始まり、恒星年齢中間値も M 31 で 7.5 Gyr, M 33 で 4.5 Gyr と異なる。星形成史はこのように複雑であるが年齢・メタル量 関係は滑らかである。これはどちらの銀河でも星形成がその場所で行われ、 他所で生まれた星の移入は少ないことを示す。外縁部では赤化が強いため、 星形成史の構築は出来なかった。その代わり、赤化量の解析からダストの分布 が小さなスケールで HI ガスに追随していることが判った。M 31 外辺部の 大量の HI ガスにはそれに伴ったダストが存在するから、この部分のメタル量 はかなりのものとなる。これはわれわれの CMD 解析の結果とも一致する。![]() 図9.HI コラム密度分布。左下= HI, 右下=赤化強度(RGB 巾から) ![]() 図7.M33 フィールド S1 (Baker et al 2011) の色等級図。 ![]() 図8.図6と同じ。ただし M33 に対する図。 |