マゼラン雲は天の川銀河の衛星銀河群の中では規格外の天体として扱われてきた。
それらが不規則銀河でかつガスが豊富だからである。それらの大きな相対速度はまだ
銀河系との第一遭遇の途中で、それらの出所が局所群の他領域または周辺であるこ
とを示唆している。
![]() 図1.(上)MW, M31, LMC の立体投影図。左= x-y 面への投影。 右= y-z 面。実線=LMC 可能な非拘束軌道の内の一つ。 (中)M31 回転曲線。三角 = HI。赤=バルジ,青=円盤,緑=ハロー,黒=全部。 (下)MW 回転曲線。菱形= HI |
数組の初期配置では 4.3 - 8 Gyr の昔に LMC が M31 から 50 kpc 以内を通過し
た。結果は天の川銀河ハローの形状に依存する。どの場合でも、そのような最接近時の
LMC 速度は常にその距離での脱出速度よりほんの少し大きいだけであった。好都合な
解が得られたのは銀河系ハローの形が球形か、縦長の時であった。また、M31 速度の
直交成分は 107 km/s より小さく、ほとんど ゼロ km/s までが許容される。
![]() ![]() ![]() 図2.(上)近接軌道の投影図。赤= LMC, 黒= M31 。 (下)仮説を支持するパラメター範囲を表わす M31 の固有運動。ただし、 銀河系の形 q などのパラメターはそれぞれ異なる値をとる。実線は q 毎の平均値を結ぶ線。 |