The Old and Heavy Disk of M31 I. Kinematics and Stellar Populations

  Saglia, Fabricius, Bender, Montalto, Lee, Riffeser Seitz, Morganti, Gerhard, Hopp   2010 AA 509, 61 - 77

 Hobby-Eberly 望遠鏡低分散分光器の長スリットを M31 の中心から 6 方向にあてて データを撮った。中心から 5 分角までの星とガスの運動を導いたが、そこでは円盤 からの光の寄与は 30 % であった。また、長軸に沿っては 8 分角まで伸ばしたが そこでは円盤成分が 55 % に達している。

 McElroy 1983 の速度分散は 50 km/s ほど小さく見積もられていることを示した。 その結果、以前の力学モデルは M31 バルジの質量を半分に評価していたことが判った。 さらに、銀河の光度重み付き速度分散は 166 km/s に増加し、もし回転も考慮するなら 170 km/s になる。その結果、中心ブラックホール質量の予想値と観測値との間の 解離がファクター3から2へと減少した。

 回転運動の方位角は距離と共に変化し、3軸不等のバルジ形状を示唆するが、その 確定は適切な力学モデルが確定するまで待つ必要がある。




図1.NOAO 画像に重ねた 18 本のスリット位置。


図3.星の後退速度 V (中心速度 -333.2 km/s に相対的に)と速度分散 σ、 H3, H4 = エルミート・ガウス係数(Bender, Saglia, Gerhard 1994)。銀河中心 に対し、V と H3 は反対称に、 σ と H4 は対称に折りたたんである。
黒丸= RA 増える方向(東の方)に測った半径距離。星印= RA 減る方向(西の方) に測った半径距離。Vパネルの数字は対称性を最大にするため中心速度に施した 修正値(km/s)。プラスサインは黒点が後退、マイナスは接近を示す。


図4.(上)実線=等光度線内(線上?)の表面輝度重み平均速度分散と等光度線 の長軸距離 a の関係。点線= sqrt(σ2+V2)
   (下)平均を等光度線内総光度で重み。


図6.分子線 Mg1, Mg2 ラインと原子ライン強度。


図7.今回のライン強度と リック天文台での 20 星観測との比較。



図9.リック指数のプロファイル。


図10.Hβ 線等値幅。[OIII]/Hβ, [NI]/Hβ プロファイル。


図12.方位角で平均した、年齢、メタル量、 M/LR プロファイル。


図13.(上)楕円率の変化。横軸=長軸半径。
    (下)十字=運動学的主軸。黒丸=等光線

 バルジ短軸付近で反回転しているガスを検出した。我々は放射補正したリック指数 (?)を測定した。それらは円周状でほぼ一定であった。
 簡単な種族モデルを用いて、年齢、メタル量、α 元素超過のプロファイルを 求めた。銀河中心数秒角を除き、M31 バルジは一様に古く (≥ 12 Gyr)、[α/Fe] ∼ 0.2, [Fe/H] ∼ 0.0 である。これは、各星に対するかこの結果と一致する。 モデルからの u-g, g-r, r-i プロファイルは観測とも一致する。

 中心数秒角では年齢が 4 - 8 Gyr に落ち、メタル量は太陽の3倍に上がる。中心 6 秒角から始めて、年齢が 8 Gyr に落ち、メタルが少し太陽を上まわり、α元素が 超過する。[OIII]/Hβ 対 [NI]/Hβ 図から診断すると 10 描角の外側で ガスはショックにより電離している。中心には AGN 的な電離源が存在するらしい。 我々は 100 Myr 昔にガスに富んだマイナーマージャーが起き、観測される短軸ガス 反回転、最近の星形成、核活動の原因になったのではないか?




図2.低分散スペクトルのanamorphic distortion














図3(続き).縦点線は中心部スリットから外側スリットへの切り替えを示す。 長軸に沿ってはさらに点線が MJEE データを示す。縦短破線=中心スリットの シーイングを示す。
緑丸, 緑三角=McElroy 1983。赤実線=van der Marel et al 1994。黄色、 マゼンタ= Kormendy, Bender 1999。青破線= Widrow et al 2003 モデル。


図5.様々な方位角に沿ってのガスの運動。銀河中心に対し、後退速度は 反対称に、速度分散は対称に折りたたんだ。黒丸= RA 増える方向(東の方) に測った半径距離。星印= RA 減る方向(西の方)に測った半径距離。 ゼロ点シフト等は図3と同じ。青丸、赤丸=Pellet 1976 データ




図6(続き)


図8.ガス輝線の補正の結果。ΔI = Icor - Iraw


図9(続き).




図11.年齢、メタル量、組成超過、 u-g, g-r, r-i, M/L のプロファイル。