銀河スケール (10 - 100 pc) からもっと小さい半径への角運動量輸送は超大質量
ブラックホールの形成と進化を理解する際の極めて重要な問題の一つである。一見
無関係に見える観測から M31 ブラックホールを回る起源不明の片寄った(?)恒星
円盤が発見された。
![]() 図1.多スケールシミュレーションの例。赤=投影恒星密度。青/緑= 投影ガス密度。緑から青にかけて単位質量当たり星形成率が高くなる。 各パネルは円盤を正面から見ている。 上:銀河スケール。二つの等質量円盤銀河 (1011Mo) の中心核融合直後。 マージャー開始時には円盤のガス比率 fgas = 0.4, バルジの質量比 B/T = 0.2. マージャーは大量のガスを中心 1 kpc 領域に落とし込む。その 結果、中心領域で爆発的星形成が起こる。 中:0.1 - 1 kpc 領域の再計算。爆発的星形成円盤は自己重力系で、渦状腕と 棒モードを発達させ、それがガスを 10 pc にまで落とす。その付近でバー はブラックホールの重力で弱くなる。 下:30 pc 領域の再計算。この大きさでの流入ガスは偏心した細長い円盤を形 成する。これはより大きな距離では一本腕の渦巻となる。円盤は < 0.1 pc への降着率を 1 - 10 Mo/yr に上げ、図 2, 3 の恒星円盤を残す。 ![]() 図3.恒星円盤の左=平均視線速度 V と、右=速度分散 σ 分布。 (上)シミュレーション結果。ガスが消えたずっと後。実線=真横から54° 傾いて見た例。点線=10°づつ傾けた例。 (下)黒四角= M31 HST 観測(Bender et al 2005)。 マゼンタ丸=地上観測(Kormendy,Bender 1999)。 |
偏心恒星円盤は残りのガスに強いトルクをかけ、ブラックホールを成長させる
ガス流入を促す。この同じ円盤は多方向に対して強い減光を産み出す。それは
隠された活動銀河核を説明するために引き合いに出されるトーラスの実体であ
ろう。
![]() 図2.幾つかの計算での中心核円盤の例。左下パネルのスケールは全パネル で共通。各行は異なる中心 50 pc の計算例。上から下へ、h/R = 0.16, 0.08, 0.28, 0.25, 0.15, MBH = 3 × 107 Mo, 初期10pc内円盤質量 = 1.2, 1.7, 3.0, 8.1, 0.25 × 107 Mo, 偏心円盤はどの例にも出現する。 (左) ガス表面密度。青から赤/黄にかけて星形成率が大きくなる。図のエッジ はショックで、エネルギーの消散が起きて、急速なガス流入を引き起こす。 (中央左) 左の図を横から見たもの。 (中央右) 星の分布。ショックが立たないのでエッジはぼやける。 (右) 横から見た星密度。二つの核が見える例がある。M 31 の離心円盤 P1/P2 を思わせる。 ![]() 図4.モデル恒星円盤の性質。実線は図3と同じ計算。灰斜線=観測 (左上)=恒星表面密度。(右上)=主軸に沿った円盤の離心率。? (左下)=円盤のパターン角速度(歳差運動)。個々の星の角速度は点線 (右下)=ガス流入率。円盤形成時の活動期。 |