目的:天の川銀河円盤とアンドロメダ銀河円盤の化学進化を研究した。共通の
性質と違う点を摘出した。
方法:M31 の星形成率、ガスプロファイル、メタル量分布などの観測データを
用い、円盤スケール長で規格化した分布で比べると二つの銀河は良く似ている
ことが判った。これは両者を共通の枠組みで記述する可能性を示唆する。
結果:星のプロファイル、ガスの割り合い、メタル量がどちらも我々のモデル
で記述できる。ただし、M31 の星形成効率が天の川の2倍である必要がある。
図1.(上)HI, 分子、ガス総量の表面密度。(下)丸=観測星形成率。線=
右下の星形成率での予想。
図3.(上)天の川の酸素組成。実線= 良く引用される
-0.07 dex/kpc と -0.04 dex/kpc ライン。(下)M31
図5.諸量のプロファイル。左と中は実距離。右は規格化距離で示す。黄色
=天の川(酸素勾配は -0.04 dex/kpc)。青= M31。実線=天の川モデル。
破線= M31 モデル。
図7.様々な場所でのメタル量分布。実線=モデル。M31 のメタル分布は
各点での RGB (6 - 12 Gyr) (Worthey et al 2005)から決めた。
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M31 の星形成率プロファイルは Kennicut-Schmidt law とは合わない。これらの
不一致の原因は M31 では近い過去に激しい星形成が起きたことであろう。これは
2 億年前に近くの銀河、多分 M32 と正面衝突したという仮説とよく合う。
結論:天の川は静謐な進化を遂げてきたので単純なモデルで記述される。M31
には銀河間相互作用を含むより複雑なモデルが必要である。こちらの方が一般の
渦状銀河の記述にはふさわしい。
図2.ガス表面密度と単位面積当たり星形成率。実線=ケニカット則。
破線の間=GALEX の結果(Boissier et al 2007)。M31 の円盤内側は
奇妙な振る舞いを示す。
図4.スケール長で規格化した距離に対する、様々な量のプロファイル。(下)酸素
勾配に対しては天の川の二つの勾配に対する図を示す。
図6.諸量の時間変化。星形成効率 α = 0.1(天の川), = 0.2(M31) とした。
各パネル右端の縦線は観測値。M31 の星形成率予測が高すぎたことに注意。
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