Milky Way versus Andromeda: a Tale of Two Disks

  Yin, Hou, Prantzos, Boissier, Chang, Shen, Zhang 2009 AA 505, 497 - 508

 目的:天の川銀河円盤とアンドロメダ銀河円盤の化学進化を研究した。共通の 性質と違う点を摘出した。
 方法:M31 の星形成率、ガスプロファイル、メタル量分布などの観測データを 用い、円盤スケール長で規格化した分布で比べると二つの銀河は良く似ている ことが判った。これは両者を共通の枠組みで記述する可能性を示唆する。
 結果:星のプロファイル、ガスの割り合い、メタル量がどちらも我々のモデル で記述できる。ただし、M31 の星形成効率が天の川の2倍である必要がある。




図1.(上)HI, 分子、ガス総量の表面密度。(下)丸=観測星形成率。線= 右下の星形成率での予想。


図3.(上)天の川の酸素組成。実線= 良く引用される -0.07 dex/kpc と -0.04 dex/kpc ライン。(下)M31


図5.諸量のプロファイル。左と中は実距離。右は規格化距離で示す。黄色 =天の川(酸素勾配は -0.04 dex/kpc)。青= M31。実線=天の川モデル。 破線= M31 モデル。


図7.様々な場所でのメタル量分布。実線=モデル。M31 のメタル分布は 各点での RGB (6 - 12 Gyr) (Worthey et al 2005)から決めた。

M31 の星形成率プロファイルは Kennicut-Schmidt law とは合わない。これらの 不一致の原因は M31 では近い過去に激しい星形成が起きたことであろう。これは 2 億年前に近くの銀河、多分 M32 と正面衝突したという仮説とよく合う。
 結論:天の川は静謐な進化を遂げてきたので単純なモデルで記述される。M31 には銀河間相互作用を含むより複雑なモデルが必要である。こちらの方が一般の 渦状銀河の記述にはふさわしい。




図2.ガス表面密度と単位面積当たり星形成率。実線=ケニカット則。 破線の間=GALEX の結果(Boissier et al 2007)。M31 の円盤内側は 奇妙な振る舞いを示す。


図4.スケール長で規格化した距離に対する、様々な量のプロファイル。(下)酸素 勾配に対しては天の川の二つの勾配に対する図を示す。


図6.諸量の時間変化。星形成効率 α = 0.1(天の川), = 0.2(M31) とした。 各パネル右端の縦線は観測値。M31 の星形成率予測が高すぎたことに注意。