Kinematic and Chemical Constraints of the Formation of M31's Inner and Outer Halo

   Koch, Rich, Reitzel, Martin, Ibata, Chapman, Majewski, 森, Loh, Ostheimer, 田中 2009 ApJ 689, 958 - 982

 M31 短軸及び軸外れで 3500 個の赤色巨星候補の Ca 三重線を DEIMOS で 撮った。これらのデータは中心から 160 kpc にまで及んでいる。視線速度 は運動学的に冷たい副構造が 17 kpc に割っていることを示した。
 我々はノイズの高い Ca II 三重線スペクトルからメタル量を決める方法を 改良した。それは個々のラインを重み付き加算することである。こうして S/N = 5 のスペクトルから 0.3 dex 精度でメタル量を決めた。その結果、 以前よりもさらに強いメタル量勾配が短軸に沿って、特に外側ハローにまで 存在することが判った。外側ハローではメタル量は -2 dex にまで低下する。 個々の星では -2.6 dex のものさえあった。




図1a.背景はIrwin の星計数マップ。赤四角=内側フィールドの観測領域。 青四角= Brown et al 2003 - 2007 の HST フィールド。二本の実線=図14-16 に 示すメタル量折れ曲がりが生じた領域。この遷移は星計数マップ上で円盤に乱れが 起きている部分の縁に一致する。


図2.(上)前景矮星。(下)M31 赤色巨星スペクトル例。各枠内で、 (上)低い S/N(∼ 6, 8)では視線速度と CaT メタル量をやっと決められる。 (下)高い S/N(∼ 120、20 )。 (左)重力効果の強い Na D 線。(右)CaT


図3.M31 巨星、MW 矮星、背景銀河に分けた色等級図。


図5.(左)M31 からの投影距離 160 kpc における Besancon モデルによる銀河 系矮星のカラー・速度分布。(右)速度分布


図6.CaT 線の足し算の例。左=球状星団の高 S/N スペクトル。右= M31 の巨星。 下の破線= Penny モデル。


図8.エラー分布。


図10.森,Rich 2008 による多体計算の 1 Gyr での例。各枠は成分を別々に 表示している。左上=降着銀河。右上=円盤+バルジ。左下=ハロー。右下=円盤、 バルジ、降着銀河。


図12.短軸に沿っての視線速度の分布。(左)半径 40 kpc 以内の分光天体全て、 前景星も含む。(右)前景星除去後。等高線はシミュレーションの結果。


図14.(左)分光メタル量と視線速度。(右) 40 kpc 以内の星のメタル量と距離。


図16.平均メタル量の距離変化。(上)短軸に沿って。(下)軸外れ。


図18.合成スペクトル。

 この様な低メタルハローが M31 で検出されたのは初めてである。内側楕円体 付近では 20 kpc で 0.5 dex の急な低下を見出した。これは拡張された円盤の 縁に相当する。これは以前に星計数マップから言われていた。最も遠い所で 検出した赤色巨星の多くは M33 の重なったハローのメンバーであろう。

 視線速度の観測を N 体計算と比較すると、ジャイアントストリームを作り出した 事件からは内側ハローは形成されそうにない。ストリームのメタル量分布は 内側ハローと異なる。従って、ジャイアントストリームや外側ハローを作り出した 事件からは内側ハローに十分な物質が供給されることはなかった。これらの事実は M31 の外側、内側ハローの形成には大量の降着がストカスティックに起こったこと を示す。




図1b.全データセットの配置。図1a は内側に相当。図の上の数値は投影距離。マスクの 色はメタル量を表わす。黒菱形=ストリーム(Kalirai et al 2006) 丸= HST フィールド。 破線楕円= Ibata et al 2007 が見つけた tangential stream の位置。


図3. M31 巨星の色等級図。CaT[Fe/H] で色分けされている。参考線は Girardi et al 2002 の 12.7 Gyr, [Fe/H] = -2.3, -1.7, -1.4, -1.0, -0.5, 0.01.
(分光メタルと測光メタルのどっちが信じられるのだろう?)


図4.矮星と赤色巨星の分離に使うパラメター:Na D線等値幅、 V-i' カラー、 視線速度に対する相対確率分布。破線=経験的分布。それぞれは重なりが大きいが 組み合わせると矮星を効果的に除去できる。右下=巨星対矮星比率の距離 変化。


図7.左:較正用星団データ(FLAMES:Koch et al2006) の加算等値幅対水平枝との 等級差。右:同じ星団星のメタル量を Carretta/Gratton 1997 スケールで表わしたもの。 W' = ⟨&Sigama;W⟩ + 0.55(V - VHB), [Fe/H] = -2.90 + 0.45 W' が使用した式。


図9.分光メタルと測光メタルの対比。バツ=矮星。黒丸=巨星。


図11.短軸に沿っての視線速度の分布。(上) 35 kpc 以内での観測データ。 (下)シミュレーション降着銀河粒子の分布。


図13.速度ヒストグラムの距離による変化。実線=観測。灰色=シミュレーション。


図15.メタル量勾配。(左上)TiO (7100A) 強度の距離変化。黒点=巨星。赤点= 矮星。黒点の方には勾配が認められるがやや曖昧。(右上)実線=巨星の分光メタル 量の変化。はっきりと勾配が認められる。灰色=矮星。(下)[Fe/H] 分布。


図17.メタル量によるスペクトルの変化。(左) Fe (右)CaT.ΣW は 2.4 から 7.8 A へと変わる。


図19.ハロー最外側での巨星のメタル量と速度。M31 中心速度 -300 km/s と M33 中心速度 -180 km/s に集中が見られる。