The Star Formation Histories of the Bulge and Disk of M31 from Resolved Stars in the Near-Infrared

  Olsen, Blum, Stephens, Davidge, Massey, Strom     2006 AJ 132, 271 - 289



図20.星形成史と年齢ーメタル量関係。実線は Robertson et al 2004 の 円盤モデル。

 M31 のバルジと円盤の 3 箇所で行ったジェミニ北望遠鏡 ALTAIR AO による H, K 観測を報告する。これはこれまでで最も高分解能で深い M31 観測である。 この観測を M31 9 箇所での HST/NICMOS 観測とつなぎ、M31 バルジと円盤の 粗い星形成史を導いた。




図1.NIRI+ALTAIR (Davidge et al 2005) と NICMOS(Stephens et al 2003) の 観測領域。バックは Massey et al 2006 の R バンド。


図4.バルジ 1 NIRI+ALTAIR 領域における H-K 対ガイド星からの距離 R。
点線= H-K 平均カラーが R に影響されていないことを示す。
破線= Davidge et 2005 の測光では、anisoplanicity の補正が行われていない ために R により平均カラーが変化することを示す。

 MK 光度関数(色等級図ではない点に注意)へのフィットから、支配 的種族は t > 6 Gyr の古く太陽メタルの星であることを見出した。この古い 種族は銀河中心距離の全てでバルジと円盤への相対的寄与に関らず、星形成史の 主要部である。我々の観測箇所にはバルジ星が幾分かは寄与しているが、我々の 結果の精度内ではバルジと円盤の年齢差は認められなかった。




図2.15 ピクセル半径のアパーチャ測光と PSF フィット測光と差、補正、 と中心ガイド星までの距離の関係。強い Anisoplanicity 効果がある。


図6.測光の完全性とエラー。



図3.3つの NIRI+ALTAIR 領域における色等級図。Davidge et al 2005 の 色等級図とはアパーチャ補正の効果(図2)による。


図5.バルジと円盤種族のシミュレーション。 Girardi et al 2002 太陽メタル、 12 Gyr 等時線からランダムに選んだ実数に近い数の星を DAOPHOT ALLSTAR PSF で作り、ノイズを加えて挿入し、できた画像をパイプラインに通した明るい等 級ではカラー分散が観測よりずっと小さい。これは M31 領域には幾つかの種族 が混在していることを示す。


図7.(左)全領域での NIRI+ALTAIR(赤) と NICMOS(黒) の比較。 (右)(H - K)o カラー分布の比較。NIRI+ALTAIR は分散が 0.081 で NICMOS (0.074)より 0.037 青い。


図8.(左)赤=2MASS の LMC バーと、黒=Stephens et al 2003 HST/NICMOS M31 フィールドの比較。LMC は (m-M)o = 18.5, AK = 0.025, M31 は (m-M)o = 24.45, AK = 0.1 を仮定。
(右)MK = -6 の 0.25 mag. 以内の星の (H-K)o カラー分布。LMC の方が 0.1 等青い。低メタルだから当然。


図9. (J-K)o カラー分布。こっちは逆に 赤=LMC が 黒= M31 より 0.05 mag. 赤い。LMC の年齢とメタル量からは 0.20 mag. 青いはずである。
Stephens et al 2003 の J に 0.25 mag. のゼロ点シフトがあったらしい。


図10.MK 光度関数の年齢・メタル量分布による変化(Girardi et al 2002 に基づく)。MK = -4 で合わせてある。
(左)t = 5 Gyr で、Z = 0.0001(シアン)、 0.0004(青)、 0.001(緑)、 0.008(黄色)、 0.019(赤)
(右)Z = Zo で t = 1 Gyr(青),3 Gyr(緑), 5 Gyr(黄色), 10 Gyr(赤)

星形成史の導出法は Dolphine 1997, 2002 の筋書きに基づいて、Olsen 1999, Blum et al. 2003 が開発した。これは、K 光度関数をフィットする方法である。 我々は Girardi et al 2002 の等時線 t = {1, 3, 5, 10} Gyr, Z = {0.0001, 0.0004, 0.001, 0.008, 0.019, 0.03} のセットからモデルを作った。
2MASS Ks 光度関数だけで LMC 星形成史を作った結果は HST の深い測光に基づく 星形成史と定性的に一致した。一方、2MASS 色等級図を合わせた結果の一致は よくなかった。これはモデルでのカラーは太陽オパシティを使っていて内部から 湧きあがってきた物質による組成変化を考慮していなかった(Marigo et al 2003) ためである。

(この欠陥は Girardi et al 2008 では 改善されているはずなので今は違う?)

  図11.

  図13.

 フィットの第1段階は、年齢とメタル量の組み合わせ 24 通りに対し、光度 関数を作ることである。それに、 (m - M)o = 24.45, AK = 0.1, 測光エラーのたたみ込み、測光完全性(50% 以上を使用)を入れる。

 キーは AGB と RGB の先端 Ks 等級である。メタルが高くなると、RGB チップ は K で非常に明るくなる。AGB チップも明るくなる。5 Gyr より若い時には 年齢と共に RGB チップは明るくなる。一方 AGB チップは全期間を通し年齢と 共に暗くなる。(ここ本当かな?)このような特徴があるので、K バンド光度 関数から年齢とメタルの両方を決められる可能性がある。

 極値探索には Press et al 1992 の amoeba ルーチンを使用した。極小を 探すパラメターは、

  χ2 = 2Σimi - ni + niln(ni/mi)
     (Mighell 1999, Dolphine 2002)

である。ここに mi = モデルが予想した i - 番ビンの星数、 ni = 観測された i - 番ビンの星数、である。

 24 個の基準光度関数の足し算でモデルを作る。基準関数の係数が星形成 とメタル増加史を表わす。



  図12.


図11.テスト1 。 (左上)入力種族。(右上)出力種族。 (左下)年齢分布。(右下)メタル分布。破線=入力。実線=出力。

図12.テスト2。5 Gyr と 10 Gyr 種族を区別できることを示すテスト。

図13.テスト3。入力基底セットが我々のとマッチしない場合に正しい解を どのくらい復活できるかのテスト。 t ≤ 5 Gyr は正しい年齢分布を再現したが、 t ≥ 6Gyr の分布は全て 10 Gyr ビンに収斂した。



図14.(左)K 光度関数へのフィットから導いた3つの NIRI+ALTAIR フィールド での種族ボックス。
(中)黒=観測光度関数。赤=モデル光度関数
(下)残差ヘス図。白=データが高い。黒=モデルが高い。



図15.中心からの距離に沿った種族構成の変化。二重丸=我々の NIRI+ALTAIR。 黒丸= NICMOS K 光度関数の結果。上横軸=Kent 1989 による バルジ星 対円盤星の比。
(左上):動径距離による平均年齢の変化。どこでも古い種族が決定的。 (右上):年齢種族毎の寄与。5 Gyr と 10 GYr の増減は反相関しているのは フィッティングの縮退の影響を示す。 (左下):平均メタル量の動径距離による変化。中心部で低メタルになるのは、 低メタル中間年齢種族が出現するからであるが、これは人工的な現象かも。 円盤はバルジより低メタル。 (右下):メタル成分の寄与。

図17.15図とおなじだが、AK もフリーパラメターにした。結果は 殆ど変わらない。

図19.M31 の積分種族ボックス。高い表面輝度のため、バルジが支配的となる。



図16.平均年齢とメタル量の変化。 (上)AK = 0.0, (下)AK = 0.2

図18. F170 NICMOS フィールドの種族分布。Sarajedini/Jablonka 2005 の結果と 違い、全てが 10 Gyr とはならなかったが、支配的であることは確か。