Unravelling the Mystery of the M31 Bar

  Athanassoula, Beaton    2006 MN 370, 1499 - 1512

 M31 の傾斜はバーをはっきり認識するには横向きになり過ぎている。一方、 バルジの boxy/peanut 形状をはっきり見分けられるよう円盤から突き出る ほどには横向きでない。にも拘らず多くの手掛かりはこの銀河にバーを示唆 している。そこで、バー銀河のシミュレーションを行い、M31 の観測と 比べた。ハローは静的ポテンシャルでなく、各運動量のやり取りを行う 粒子からなり「生きている」ことに注意。 特に、赤外観測が重要であった。等輝度線の比較、長軸、短軸に沿った 輝度プロファイル、ずれた直線に沿ったカットでのプロファイルを比較した。 4つの基本モデルをデータと比べて、バーの強さ、長さ、角度を導いた。

 M31 が古典的なバルジとピーナッツ/ボックスバルジの両方を持つ (意味不明) という議論を展開する。50' の リング状構造はバーの外側リンドブラッドレゾナンス付近にあり、棒状銀河に よく見られる外側リングかも知れない。等輝度線の形は M31 バーの垂直方向に 平たい部分がボックスバルジの遥か先まで伸びていることを示唆する。つまり、 ボックスバルジはバーの一部に過ぎないのである。こうして、軌道解析と シミュレーションのからの予言が確認された。ボックスバルジの骨組みは x1 tree メンバーの周期軌道と、x1 族から分岐した 高次の共鳴、x1v3, x1v4 のような、 である可能性が高い。


図2.M 31 の J 画像。内側第2、3等高線がボックス型なのに注意。第3線 が少し傾いていることにも注意。



図1.(上段)横。(中段)M31 と同じ 77° 。(下段)正面。
縦実線=バー終端位置。縦破線=垂直方向に広がったボックスの終端。この 内側ではボックス的に見えることに注意。その外側に大体バー方向に伸びる 尖ったパターンが見える。これは垂直方向に薄いバーの印である。
(左)Athanassoula/Misiriotis 2002 のバー分類では MD タイプ。内側銀河で 円盤が力学を支配する。極端な円盤銀河。バーは厚く、短い。上から見ると 楕円形状。密度の m = 4, 6 フーリエ成分は無視できる。バーに沿ったカット の断面は指数関数的に落ちて行く。進化してもボックス型のまま。 横から見た速度場は筒状回転ではない。ハローとの角運動量交換は小さい。
(左中)MH タイプバー。ハローが小さいコアを持ち、バー領域でハローも 円盤と同程度に力学に寄与する。バーは薄く、長い。上から見ると四角ばっている。 密度の m = 4, 6 フーリエ成分が m = 2 成分に匹敵するほど大きい。バーに沿った カットの断面は中心両側に二つの高まりを持ち、先で急落する。ansae and/or 内側リングを示す事が多い。それらはバーの長軸と同じ方向に少し伸びている。 横から見た形状は初めはボックス型だが進化するとピーナッツ型か X 字型になる。 横から見た速度場は筒状の回転速度場。ハローと活発な運動量交換を行う。
(右中)MDB 型。古典的バルジを付与。
(右)MHB 型。古典的バルジを付与。
(中段はバーの方位角により見え方が変わる。)



図3.MHB 型モデルをバーと銀河面長軸の色々な角度で見た時の等密度線。傾斜角 は 77° で固定。



図4.リアルに近い方向、傾斜角= 77°, 方位角 = 38°、 に置いた銀河 をバーと長軸との角度 = 10°(左の二つ)= 20°(右の二つ)、で見た 様々なタイプのモデル。




図5.長軸に沿ってと、平行に南東方向 50, 100, 150, 200, 250 秒角ずらした J 輝度プロファイル




図6.図5と同じだが、北西方向にずらした。




図7.(上)図4と同じ(多分)だが、長軸の向きを真横にしてある。水平の 実線、破線それぞれの横線の間が密度を計算した領域。
(下)上の2領域の間の密度プロファイル。縦線はボックスバルジとバーの 夫々の端を示す。




図8.回転速度(Rubin/Ford 1970) R = 10' 付近の深い谷に注目。通常の 渦状銀河では見られず、棒渦状銀河に特有(Kuijken/Merrifield 1995)。


図10.バーに対するガスの反応。バーの主軸は水平から 45° で、 時計向きに回る。明るい領域はガス密度が高い。バーの半長軸は 5 ユニット、 半短軸は 2 ユニット長。



図9.M31 HI の位置速度図(PVD)。
(上)主軸沿い。(中)1.'2 西。(下)2.'4 西 (Bronks/Shane 1984)



図11.図10に使った棒渦状銀河ガス成分のモデル位置速度図。図中の6つの 角度は銀河の見かけ主軸とバーとの間の角度。



図12.4つのモデル、上から下へ MD, MH, MDB, MHB、における星の速度場。太い実線=等速度線。細い実線= 等密度線。破線=運動学的長軸。
MD 以外は等速度線が斜めに長軸を横切るのは何故?