IUE 1175 - 2000 A スペクトルは晩期型星を二つの集団にはっきりと分ける。 太陽型集団は温度 五千度から二十万度=彩層、遷移層、コロナで形成される ラインからなる。非太陽型集団は温度一万から二万度より低温のライン=彩層 しかない。 | この急激な変化は恒星外層大気の特性に起因する。我々がアークツルスのモ デルで計算した星風コロナのように希薄な遷移層、または Mullan が提案した 大規模星風の発生により高温物質が消失したためではないか。 |
晩期型星の彩層と冷たい星周外層 Mg II, Ca II 輝線の存在から、晩期型星に太陽と似た彩層があると考えら れている。一方、晩期型超巨星の青色遷移した非対称な吸収線輪郭、赤外超過、 光球リム外側からの KI 輝線(αOri)などは、広がった冷たい星周外層 の存在を示す。 |
紫外スペクトル 紫外スペクトルには一万度以上のプラズマからの輝線が多い。 ここでは IUE による晩期型星のスペクトル観測の結果を示す。 |
低温度ライン CIλλ1561, 1657, SiIIλλ1808,1871, OIλλ1357 は 104 K 以下のプラズマに特有である。 高温度ライン 高温度プラズマからは CII から NV のラインが出る。 CIIλλ1335 (20,000K), CIIIλλ1175 (40,000K), SiIVλλ1394, 1403 (80,000K), CIVλλ 1549 (100,000K), NVλλ1240 (200,000K) は 104 K 以下のプラズマに特有である。 第1グループ(太陽型) 第1グループは彩層輝線 Lα, CI, OI, SiII と、より高温の HeII, CII-IV, SiIII-IV, NV を示す。また高温輝線強度比は太陽と同程度である。 第2グループ(非太陽型) 第2グループは、彩層線は含むが高温度輝線は見られない。 HR 図 図2に観測星をプロットした。主系列星と V-R=0.31(F2 IV) より晩期の準巨星 は全て太陽型であった。G-, K-型巨星では HR-図上に明瞭な区分線が存在する。 現在の所、図の上下のデータはない。 |
![]() 図2.HR 図上での観測星の位置。実線=我々の区分線。 破線= Mullan 1978 が提案した超音速遷移線(STL).左は そのパラメターΔ=0.5 右は 0.8. |
コロナの観測 太陽においては、彩層の上に遷移層= 30,000 - 106 K に掛けて の急激な温度勾配と希薄な密度、およびコロナ T > 106 K が 存在する。 IUE では T > 2 105 K (NV) のプラズマの観測が 出来ない。従ってコロナを直接観測するのは無理である。ただ、遷移層スペク トルがあるとコロナの存在が予想される。 |
右側になぜ遷移層、コロナがないのか? 右側星は 20,000 K おそらくは 10,000 K 以下の外層しか持たない。ここで 参考になるのはコロナルホールが低温なのはエネルギー供給が低いためではなく、 太陽風の膨張のためであることである。右側星の外層温度が低いのは、強い星風 が原因ではないだろうか? |