この10年で IM-FM 関係の理解が大きく変わった。大きな進歩は、 宇宙年齢中に水素を燃やし尽くす「最小」恒星質量まで観測が深く なったことである。その結果、Kalirai et al. 2009 は t = 12.5 Gyr の低メタル種族 II 星が現在 Mf = 0.529 Mo の白色矮星を形成し つつあることを発見した。 | この結果から、我々は現在作られつつある低メタル種族II 星の 白色矮星質量からその星の年齢を導く関係を導いた。この関係を 使い、少数のハロー白色矮星から、銀河系内側ハローの形成が 11.4 Gyr 昔で、大部分の球状星団より若いことを見出した。 |
星団白色矮星 星団白色矮星の冷却年齢と星団年齢との差から、母星の主系列寿命が、さら に母星質量が推定される。22001 に Kalirai は PhD thesisi 用に2ダース の星団を深く撮像して、それらの年齢、メタル量、赤化、距離を導いた。 その結果から 8-, 10-m 望遠鏡による白色矮星分光観測を行った。 IM-FM 関係の研究 過去10年間、いくつかのグループ Kalirai05, Dobbie06, Williams04, Williams07, Williams09 が IM-FM 関係の研究に従事してきた。図1にそれらをまとめた。 特に M4, NGC6791, NGC6819, NGC7789 はKalirai グループの成果である。 彼らの結果を使い、 Mi = 0.8 Mo にまで及ぶ「完全な」IM-FM 関係を 作る。 |
![]() 図1.散開、球状星団内白色矮星の分光観測に基づいた IM-FM 関係。 データ点は幾つかのサンプル星の結果を一つにまとめたものである。 破線=熱パルス開始時のコアマスモデル(Girardi00)。AGB上でのコア マスの増加が観測点とモデルとの差に相当する。 |
星種族の年齢 白色矮星は星種族の年齢を測るために使われてきた Winger87. その冷却年齢は主系列寿命を含まないので総年齢の下限となる。 ハロー年齢 Kalirai12 は IM-FM 関係を用いた、新しい方法で星種族の年齢を 定めた。彼らは M4 のターンオフ年齢 12.5 Gyr を用い、新しい白色矮星 質量 0.529 Mo から、0.8 Mo 主系列星が 0.529 WD を形成することを 導いた。IM-FM 関係を用いれば、星種族中の新しい WD 質量を測れば ターンオフ質量を決めることが可能となる。Kalirai12 は SN Ia Progenitor Surveu (SPY) で見つかった内側ハロー WDs 中からそれを 0.551 Mo と 定めた。図2に示すように、内側ハローの年齢は 11.4 Gyr となった。 注意すべきはこの関係が低メタル星から導かれたものということである。 関係の較正が M4 でおこなわれているので、他の較正源を使うとセロ点 変光に伴い違う値が出る可能性がある。 |
![]() 図2.M4 中の白色矮星の分光から現在形成されている白色矮星が 0.529 Mo であることが分かる。この星団の年齢を 12.5 Gyr とすると、母星 は 0.8 Mo である。斜線= MW 球状星団の年齢分布。SPY サーベイからの MW 内側ハローで新しく形成された白色矮星は M4 のより重い。内側ハロー の年齢は 11.4 Gyr と見積もられる。 |
応用例 ここ数年、PNe, 系外惑星ホスト星、超新星率、SFH への制約 Leitner, Kravtsov (2011) などへと応用が広がっている。 |
課題 この関係をしっかりさせるには (1)WD形成星質量上限 (2) 現在の IM-FM 関係は太陽メタル星団。他のメタル量。 |