771 OH/IR 星と 363 SiO メーザー星の l-v 図から内側銀河系におけるメー ザー星の分布を調べた。星は銀河面にへばりつき l = [-45, +45] にある。 OH, SiO l−v 図はよく似ている。それら両方は CO l-v 図と非常に似ているが、 詳細に見ると違いがある。l-v 図を7領域に分けた。各領域にある星を数えた。 それらを銀河系ポテンシャル内の軌道のセットから予想される星数と比較した。 このポテンシャルは軸対称であるが弱い回転バーを加えた。メーザー星は R > 3.5 kpc では、ほぼ円軌道を描いていると結論する。しかし、軌道が内側 に入るにつれ、その形は細長くなる。 | 我々は R = 3.3 kpc に共回転共鳴による 強い効果を見出した。また R = 5 kpc に弱いが認識できる外側リンドブラッド 共鳴を発見した。しかし、R = 0.8 kpc の内側リンドブラッド共鳴は見つから なかった。 6つの軌道群が観測された星数と良く合う結果を予言する。それらの軌道を 計算し、メーザー星の銀河面上の分布を作った。この分布は二つの特徴を持つ。 一つは GC から 2 kpc 以内にできるバー状の構造で、もう一つは、クロアッサン 状の二つの空隙で共回転距離 (3.3 kpc) 付近に生じる。この空隙は共回転共鳴 が存在する結果である。Sevenster 1999 が今回と同じデータの一部を使って得た 結果とよく一致する結果を得た。 |
CO HI 観測は |l| < 30 が欠けていた。CO がそこを埋めたが、その著しい 特徴は R = 3 kpc のいわゆる「分子リング」の内側に星間物質がほぼ完全に 存在しないことであった。例外は GC から数百パーセク内のガス円盤であるが。 これらは Binney, Merrifield 1998 の教科書によく書いてある。 |
メーザー星 OH メーザー探査の結果から、メーザー源は薄い回転円盤を形成し、 R < 3 kpc での密度は低いことが分かった。これは星間物質の「空孔」とよく似て いる。予想外の結果として、(l, b) = (0.3, -0.2) に高速の負速度 -341 km/s メーザー源が見つかった (Baud et al 1975) ことである。そのような星は さらに多数見つかった。これは重要な発見であった。 |
OH/IR 星のほぼ全てが |l| < 50° に見出される。これはメタル量勾 配に原因すると見做されている。 | 低メタル星が AGB 期になると炭素星に進化する からである。 |
サンプル 我々は Sevenster et al 1997a,b, 2001 の OH サーベイと Messineo et al. 2002 による ISOGAL 天体の SiO サーベイの結果のみを用いる。それらは |l| ≤ 45, |b| ≤ 3.5 である。 OH は ピークフラックス 0.5 Jy 以上 で完全である。SiO 観測は全ての天体を観測したわけではなく、l-分布は怪し い。また赤外源は |b| < 1 である。 1134 メーザー星 = 771 OH + 363 SiO が知られている。 使わなかったサーベイ 我々は日本の SiO サーベイを用いなかった。彼らは IRAS カタログを基に しており、それは銀河面近くで極めて不完全だからである。同じ理由で te Lintel Hekkert et al 1991 の OH サーベイも使わなかった。 GC 周りも使わない SgrA* から 1.5° 以内の深いサーベイも用いなかった。この領域の構造 は独特の困難さを有している。しかし、内側銀河系の他領域にとって、それは 大して重要ではないだろう。 これまでの結果(1) Sevenster et al. (2000) は3次元銀河系ポテンシャルモデル内での軌道を、二つの積分量が保存される と言う仮定の下で計算した。著しい結果が彼らの図6に見られる。 R 2 kpc での円運動に対応するエネルギー E で角運動量の分布に変化が起きる。それより 高エネルギー側、つまり外側円盤、では星はほぼ円周運動で北銀極から見て時針 回りの向きに揃っている。低エネルギー側、すなわち銀河系深部、では角運動量 分布は平坦となる。与えられたエネルギーに対し、角運動量は等確率で分布し、 時計回りと反時計回りの数は等しい。 |
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