A Period-Luminosity Relation for Mira Variables in the LMC


Glass, Lloyd Evans
1981 Nature 291, 303 - 304




 アブストラクト 

 ミラ型変光星は 2 μm 付近の赤外で非常に明るく、深い星間吸収を通して、 遠距離でも見える。したがって、光度が良く決まっているという条件が満たさ れれば、それらは銀河系内、系外銀河の理想的な距離指標となる。光度はまた、 恒星進化末期にあるこれらの星の物理状態を解明するに欠かせない物理量である。  銀河系ミラの周期・光度関係は Robertson, Feast (1981) により確立されたが、エラーの評価が未定であった。ここに、分散の小さなLMC ミラの周期・輻射等級関係を報告する。


 観測 


表1.LMCミラ型星の輻射等級。

 輻射等級 

 LMC バーの 0.3 平方度の写真乾板を用いて、赤色変光星の探査を行い、 12 個のミラを発見した。周期の誤差は 10 日である。 1976 - 1980 に 掛けて,サザランド 1.9 m 望遠鏡で、それらの赤外測光を少なくとも3回行 った。測光エラーは J, H, K で 0.07, 0.04, 0.04 等である。混入が激しい 一つ 153 は解析から外す。観測から変光曲線を決めることが出来なかったの で、平均 J, H, K 等級を求め、黒体フィットで輻射等級を定めた。その結果 は表1に示す。

 一個は炭素星 

 11星は M 型ミラと仮定する。分光観測から炭素星と判明した C7 星を 除いては、カラーは M 型ミラの仮定と抵触しない。
(炭素星が少な過ぎないか? "C" のついた星は?)

図1.LMCミラ型星の輻射等級と周期の関係。バツ印は炭素星である。

 図1=周期対輻射等級 

 表1のデータを図1にプロットした。フィットラインは

   mbol = 19.25 - 2.09 log P(d)

フィットの r.m.s.= 0.22 mag である。長周期側では可視光で暗いために見つ けにくい。そのため, 検出が完全なのは P < 300 d であろう。

 輻射絶対等級 

  LMC の距離指数を古典セファイドから採って、 18.69 とすると、絶対等級 に対し、

   Mbol = 0.56 - 2.09 log P(d)


 周期光度関係の普遍性について 

 銀河系ミラの周期光度関係 

 LMCミラで得られた勾配を銀河系ミラに適用してフィットし、ゼロ点を 決めると、

   Mbol = 0.76(±0.11) - 2.09 log P(d)

となる。LMC と銀河系とでのゼロ点の差は有意とは言えない。逆に、銀河系 のゼロ点を LMC に適用すると、LMC の距離指数は (m-M)o = 18.50 となる。
 メタル量効果はあるか? 

 異なる天体系の星についても上の関係を適用して距離を決めてよいだろうか? Feast 1980 は他の系でミラ型星と振幅の大きな赤色超巨星を混同する可能性 は小さいことを指摘し、しかし、他の種の指標天体と同様、メタル量効果 の可能性があると述べた。

 ゼロ点が一致 

 銀河系ミラと今回の LMC ミラの周期光度関係の間でゼロ点が一致したことは、 メタル量効果が小さいことを示唆する。より多くの観測で、ミラ型星の距離指標 としての有用性が確立されるであろう。