W51 Main 内 H2O メーザーの相対固有運動を VLBI で測った。 相対位置精度 100 マイクロ秒角を達成した。観測された固有運動は大体 1 ミリ秒/年程度で、メーザー雲の運動を示す。横向き運動の様子はでたらめ で、強い星風が周囲の分子雲内の非一様な分布と相互作用する結果生じる 乱流運動と理解される。 | 横向き速度と視線速度の比較から、 W51 Main までの距離(統計視差)を 7 ±1.5 kpc とした。この値は運動遠距離と一致するが我々の方法は 銀河系のモデルに独立に求められた。 |
![]() 図1. VLBI 観測(1977-1978) には、クリミア 22 m 望遠鏡、オンサラ 20 m 鏡、 ボン 100 m 鏡、ヘイスタク 37 m 鏡、 NRAO 43 m 鏡が参加した。 |
![]() 図2.Vlsr = 84 km/s の基準天体のビジビリティ。 表1に水メーザーの相対位置を記した。 |
![]() ![]() 図3.W51 main の H2O メーザー放射。 上: 22 水メーザーの総スペクトル。 ボン 100 m 鏡観測。 下: 1977 - 1978 年の合成マップ。点丸= 84 km/s 基準天体。 メーザーの分布 |
![]() 図4.メーザー固有運動。小点=メーザー。大点=固有運動測定。 速度スケールは D = 7 kpc 仮定。 固有運動 |
Trumpler, Weaver 1953 は距離 D にある星の集団が、視線方向 z とそれに
直交する方向 x, y とで同じ標準偏差の速度ガウスを持つとし、 D σμx = D σμy = σVz を仮定して距離 D を求めた。 図6は 距離 D を仮定した視線速度とそれに直交する方向の速度 ヒストグラムを示す。上式から求めた D は 7.3 kpc である。 Crampton, Geogelin, Geogelin 1978, Downes et al 1980 が求めた W51 運動距離は近距離 5 - 5.7 kpc, 遠距離 7 - 7.8 kpc である。 |
![]() 図6.メーザー点の速度ヒストグラム |
図7.メーザースポットサイズの分布。 |
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