Bolometric Luminosities and Infrared Properties of Carbon Stars in the Magelanic Clouds and the Galaxy


Cohen, Frogel, Persson, Elias
1981 ApJ 249, 481 - 503




 アブストラクト 

 LMC の明るく赤い 89 星と SMC の明るく赤い 21 星を主に、Blanco, McCarthy, Blanco 1980 から選び、JHK測光及び、CO, H2O 狭帯域測光を行っ た。大部分は既知の炭素星である。それらを新しく観測した銀河系炭素星 33 個と比べた。バイアスのないマゼラン雲炭素星の光度分布を Renzini, Voli のヘリウムシェルフラッシュを起こしている最中の二重シェル燃焼星モデル計算 と比べた。観測とモデルは大きく違った。観測された星の大部分はモデル炭素 星の最も暗い星よりさらに暗かった。  さらに、Mi > 3 Mo の高光度の星の数が期待値より少なかった。その説明 として可能な一つは、初期質量関数の勾配が急であるか、無視されてきたマス ロスの効果が大きかったことなどである。それにもかかわらずヘリウムシェル フラッシュが炭素のドレッジアップを引き起こすという仮説は保持される。 LMC の晩期型 M-型巨星のカラーと指数は銀河系に似る。赤外指数は分子バンド 吸収の強度効果として説明された。それはまた、広帯域等級やカラーにも 影響する。 SMC と LMC のサンプル間の小さな差異はメタル量効果と解釈された。


 1.イントロダクション 

 BMB の発見 

 最近 Blanco, McCarthy, Blanco (1980) が LMC/SMC で行った I バンド (8100 A) グリズムサーベイは、多数の炭素星 が存在することを明らかにした。マゼラン雲に明るい炭素星が存在することは Westerlund 1960, 1964, Westerlund et al 1977(WORC), Sanduleak, Philip 1977 の 広域サーベイから分かっていた。しかし、BMB サーベイは晩期巨星の中で 炭素星種族が如何に重要かを明らかにした。炭素星/M4 より晩期 M-型星の比 は SMC で 27, LMC で 2 である。

 炭素星そのものについての情報 

 BMB はマゼランの星種族の構成に新しい情報をもたらしたが、そればかりか 炭素星現象の解明に関しても重要な貢献をした。我々は初めて、既知の距離にある 炭素星サンプルを得ることができたのである。
 赤外観測 

 我々は BMB サーベイから選んだサンプルに対し赤外観測を行った。比較のために 銀河系の炭素星(Walker 1979)の観測も行った。

 炭素系分子吸収の効果 

 論文の第2の目的は炭素星の測光的性質が炭素系分子の吸収により影響され るかを知ることである。分子ブランケッティングの効果と有効温度がどう 影響しあっているかを示す。


 2.天体選択 

 LMC/SMC 

 BMB サーベイの4領域から炭素星とM-型星が計74 個選ばれた。カラー、等級、 スペクトル型が全体にわたるようにしたが、それでも実際には赤く 、明るい星に重みが掛かってしまった。観測は CTIO 4m 望遠鏡+ InSb 検出器で行われた。
 MW 

 Walker 1979 のリストから MW 炭素星が 33 個選ばれた。それらは CTIO 0.9 m 望遠鏡で観測された。

 赤化 

 赤化補正は付録に述べた。観測星は表1−4に示す。

 表1.LMC オプティカルセンターのサンプル星 





 表2.LMC バーウェストのサンプル星 





 表3.SMC バーのサンプル星 





 表4.Westerlund et al の LMC 炭素星 





 表5.銀河系炭素星サンプル 





 3.カラー、等級、指数 


図1.銀河系炭素星の (J-H)o-(H-K)o 図。黒丸は Av<0.4. 白丸は Av=[0.4,0.8]. バツは Av>0.8. 直線=最小二乗フィットは  (J-H)o = 0.72(H-K)o + 0.66

 3.1.炭素星 

 3.1.1. SED 

 銀河系の C-星の [(J-H)o, )H-K)o] 分布 

 図1には 銀河系の C-星の [(J-H)o, )H-K)o] 分布を示す。直線は、 (H-K)o = [0.3, 0.8] における最小二乗フィットである。Av < 0.4 の星 には重みを2とした。散らばりが大きなサンプル点は Av が大きく、したが ってカラーの誤差が大きい星である。多分、本来のフィット線の周りの固有 分散は非常に小さいのであろう。(H-K)o が最も赤い4炭素星のうち3つは ミラ型であり、残りの一つは変光タイプ不明であるが、全て振幅の大きな変光 を示す。

図2.LMC/SMC BMB サーベイ星の (J-H)o-(H-K)o 図。黒丸は LMC 炭素星. 白丸は SMC 炭素星. バツは M-型星. 黒三角は WORC サーベイ。 直線=最小二乗フィットは  (J-H)o = 0.72(H-K)o + 0.66   LMC/SMC と銀河系の C-星, M-星の [(J-H)o, )H-K)o] 分布 

  図2には LMC/SMC と銀河系の C-星, M-星の [(J-H)o, )H-K)o] 分布 を示す。同じ (H-K)o で比べると、SMC C-星の (J-H)o は LMC 星より 0.05 mag. 青い。逆に MW C-星の (J-H)o は LMC 星より 0.06 mag. 赤い。 Mould, Aaronson 1980 の図2で SMC C-星と LMC C-星の間に強い分離が 示されたが、これはサンプル数が少ないための強調効果であった。



図3.MW C-星の H2O 指数と (J-K)o の関係。シンボルの意味は 図1と同じ。同様のフィットは CO = -0.36(J-K)o + 0.67.




図5.銀河系炭素星の H2O 指数と (J-K)o の関係。 実線= Av 0.4 mag 以下の炭素星の最小二乗フィット線。 H2O = 0.23 (J-K)o - 0.205. 破線=5−2節で予言される関係。

 3.1.2.狭帯域フィルター 

 図3=銀河系炭素星の CO 指数 

 図3に銀河系炭素星の CO 指数と (J-K)o の関係を示す。(J-K)o = [1.2, 2.0] における最小二乗フィットも示した。図3のデータは大きな散らばりを示し、 固有の散らばりと考えられる。

 図4=マゼラン雲 C-, M-星の CO 指数 

 図4にマゼラン雲 C-, M-星の CO 指数と (J-K)o の関係を示す。 図3から採った、銀河系炭素星の CO 指数と (J-K)o の最小二乗フィットも 示した。LMC C-型星に比べると、銀河系 C-星は 0.02 mag 大きく、SMC C-星 0.02 mag 弱い。 (J-K)o = [1.2, 2.0] における最小二乗フィットも示した。

図4.LMC/SMC C-星 (BMB, WORC サーベイ)と M-星(BMB サーベイ)の CO 指数 と (J-K)o の関係。シンボルの意味は図2と同じ。銀河系 M-星の平均線は Frogel et al. (1978) から採った。銀河系 C-星の平均線は図3である。




図6.マゼラン雲炭素星(BMB, WORC)と M-星(BMB)の H2O 指数と (J-K)o の関係。 破線= Aaronson et al 1978 の銀河系 M-巨星の関係。 実線=図5の銀河系炭素星の関係。

 図5= 

 図5には銀河系炭素星で H2O 指数と (J-K)o の間に強い相関が あることを示す。炭素星には水はないので、この指数は SED 勾配を示すと考 えられる。J-K=[1.2,2.0] での最小二乗フィットも示した。

 図6=LMC/SMC 星の H2O 指数 

 [(J-H)o, (H-K)o] 関係に関しては、赤化と観測誤差に起因する散らばりが ある。図6には、 LMC/SMC 星の H2O 指数と (J-K)o の間の関係 を示す。図5からの銀河系炭素星フィット線も加えた。観測誤差の範囲内で、 H2O 指数と (J-K)o の間の関係は MW, LMC, SMC 間に差がない。


  

 3.1.3.赤外 CMD  

 サンプル間の差 

 図7はマゼラン雲の炭素星と M-型星全ての CMD である。SMC 星は 0.5 等 上げてある。C-星は銀河系球状星団の先端光度よりも明るい。SMC 星は LMC 程赤い方へ伸びない。これは BMB が SMC 星の平均 R-I カラーが LMC 星より 0.2 - 0.3 等青いと述べたことと合致する。 Blanco, McCarthy, Blanco (1980) は BMB サーベイと WORC サーベイの間にはサンプル星の性質に差があると 述べている。WORC 星は BMB 星の明るい成分を代表している。 図7の分布にもその差が現れ、 WORC C-星は青い方に大きく伸び ている。

 カラー等級関係 

 図7にはいかなるカラー等級関係も観られない。特に炭素星では (J-K)o 分布巾が 1.5 等もあるのに相関はない。

図7.BMB, WORC サーベイ LMC/SMC 炭素星と BMB サーベイの M-型星の Ko- (J-K)o 関係。シンボルは図2に同じ。SMC 星は 0.5 等上げて比較を容易にした。


 3.2.M-星 

 銀河系サンプル 

  Blanco, McCarthy, Blanco (1980) サーベイで見つかった M-星を図 2, 4, 6 にプロットした。 それらは、 Frogel, Persson, Aaronson, Mathews (1978) による銀河系 M-星の平均線と比較された。残念なことに、銀河系サンプルの 最晩期型星ではカラーの精度は十分でない。銀河系サンプルのカラーにもまた 散らばりがある。同じ (J-K)o で比べるとマゼラン雲 M-星の H2O 指数は銀河系 M-星より高い。これは、同じ (J-H)o で比べたときマゼラン雲 M-星の (H-K)o が銀河系 M-星より赤いことの原因だろう。ただしかし、銀河系 M-星は赤化補正が行われていない。これらの高光度で稀な天体では少なくとも 0.05 mag には達するだろう。すると、図で検出されたわずかな差は赤化の 効果かも知れない。

 変光星 

 H2O の強い3つのマゼラン雲 M-星は [(J-H)o, (H-K)o] 図で 平均線より最も下にずれる5つの星に含まれる。これは 47 Tuc 変光星 Frogel, Persson, Cohen 1981 に見られた現象と同じである。そこでは 我々は H2O 吸収が JHK カラーに影響するためとした。

 M-星の Ko, (J-K)o 幅 

 図7の CMD では、BMB サーベイの M-星は Ko で 2 mag の幅を持つが、 (J-K)o = 1.3 を超えない。与えられた Ko に対する (J-K)o の広がりは真実 であろう。SMC-B28 という問題のある星を除くと、M-星の限界光度は C-星の それと同じかやや低い。

 3.3.星団とフィールドの比較 

 星団星とフィールド星の間の類似性 

 LMC/SMC 星団中の C-, M-星赤外データは Mould, Aaronson 1980, Frogel, Persson, Cohen 1980 に示されている。星団星のデータ数はまだ十分でない が、これまでに得られたデータからは星団星とフィールド星の間の類似性が 見て取れる。

  

 特に CMD 図上で、フィールド星の占める領域が星団星を含むことは注目さ れる。また、平均 Ko 等級にも星団星とフィールド星の間に差がない。

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.


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