円盤、バルジの M-巨星、超巨星と比較して、銀河中心の 19 晩期型星の K- バンドスペクトルを調べた。同じ CO 強度の星同士で較べた時、中心星は円盤 星よりも Na I(2.206 μm), Ca I (2.264 μm) 吸収が強い。K-絶対等級、 CO, H2 吸収強度を、銀河中心星および既知の円盤 M-超巨星、AGB 星と比較し、 IRS 7 のみが超巨星であると結論した。 | 他にも2つの中心星が超巨星の可能性がある。残りの明るく低温の星は中質量 の AGB 星である。K-バンドスペクトルの特徴と、測光の変動から、銀河中心星の 4 つは長周期変光星と判定した。中心星の初期質量と年齢から銀河中心では、 過去 7 - 100 Myr の間に複数回の星形成が起きたと思われる。 |
Blum et al 1996 の銀河中心 4 - 5 pc 領域の JHKL 測光は、近くのバーデ の窓と比べ、明るい星が超過していることを示した。この超過は以前から知られ ていて、最近起きた星形成により、バーデの窓に比べると若くて明るい星が 存在しているためと看做されてきた。銀河中心の熱い輝線星は ≤ 8 Myr の ごく最近に星形成が起きた証拠である。これ等の星は主系列段階を過ぎた > 35 Mo 星である。しかし、 K バンドでは最も明るいのはそれらの大質量星ではなく、 M 型星である。 | 冷たい星と熱い星の大きな違いは、明るく冷たい星は少し前の星形成 (M-巨星と中間年齢 AGB 星)ばかりでなく最近の星形成(M-超巨星)をも 示せるが、熱い星はごく最近の星形成しか示さないという点である。 ここでは、K バンドで明るい方 5 等級に渡るサンプル星を選んでスペクトル を撮った。 |
Na, Ca 吸収強度 観測は OSIRIS/CTIO-4m で 1993 に行われた。Na I 二重線 λ=2.206 μm, Δλ = 0.015 μm) と Ca I 三重線 λ=2.264 μm, Δλ = 0.013 μm) の等値巾を測定した。 より高分解能の Kleinmann. Hall 1986 などから、この等値巾には他の吸収線が混入していることが判っている。 CO 吸収強度 CO と H2O に対しては、[1 - (Fband/Fcont)]×100 を 吸収強度と定める。CO に対しては band は 2.2935 μm, cont は 2.284 μm を測る。実際には巾 0.015 μm で CO は 2.302 μm, H2O は 2.095 μm を中心波長として測定する。この指数はよく知られた狭帯域 フィルター測光による指数とは異なる。その関係は後に述べる。 |
減光の影響 原子吸収強度は減光の影響は受けない。CO も連続光をすぐそばで取るので影響は 小さい。水蒸気は間隔が離れているので影響を受ける。 Kleinmann-Hall 指数との比較 我々が決めた指数を Kleinmann-Hall 指数 COHK と比較した。そのため K-L スペクトルをビニングして分解能を落とし、我々の指数 COrebin を計算した。比較の結果は、 COHK = (8.90±1.31) + (1.27±0.07) ×COrebin であった。水蒸気指数も相関が良い。しかし、"Na", "Ca" 指数は水蒸気吸収の強い BK Vir や SW Vir のような星で、KH 指数は系統的に過小に評価される。これは KH 指数では連続光 を離れた波長帯で決めているためである。我々の"Na", "Ca" 指数ではラインのすぐ脇で 連続光を決めているので、水蒸気吸収の影響が小さいのである。我々の結果は Terndrup 1991 の等値巾と合致した。 |
3.1.以前の銀河中心星スペクトルとの比較近傍星の光の混入以前に報告されたスペクトル観測は空間分解能が低いので、近傍星の光の混入 の可能性が強い。 |
IRS 9 Krabbe et al 1991, Krabbe et al 1995, は IRS 9 が He I 輝線星の可能性が大きいとした。彼らの狭帯域撮像とスペク トルには He I 2.06 μm 輝線が見出されたからである。しかし、我々のスペク トルはこの星が明らかに晩期型星であることを示している。 Krabbe et al 1995, のスペクトルは 2.3 μm 帯まで達していないので、CO バンドが掛かって いない。 |
3.2.1.CO と H2O図2:CO と H2O 指数の比較図2は CO と H2O 指数の比較を示す。バルジ巨星、円盤巨星、 LPV は CO と H2O の間に相関がある。 CO 指数 CO は有効温度の低下、表面重力の低下と共に強くなる。また [C/H] が増加 すると、CO は強くなる。マイクロ乱流が強まると CO も強くなるが、乱流は 光度と共に大きくなる。したがって、星が巨星枝を上がっていくと、これらの 要因が重なって、CO は J-K の増加と強い相関を示す。ただ、(J-K)o ≥ 1.2 -1.3 になると分散が大きくなる。その主な原因は LPV の存在である。 H2O 指数が入ると巨星と超巨星が分離。 温度が下がると、H2O 強度は大きくなる。一方、光度が 上がると、H2O 強度は小さくなる。このために、図2で 見られるように、巨星と超巨星が分離することとなる。 CO を温度指標に用いる Frogel, Whiford 1987 と Terndrup et al 1991 は BW と円盤の星に対し、 (J-K)o を温度指標として用いた。銀河中心方向での大きな赤化のため、固有 カラーを温度指標として用いることはできない。そこで、CO 強度を温度の 粗い指標として用いることとする。ただ、CO は光度にも依存することは 忘れてはいけない。 中心星と円盤星との比較 銀河中心星、バルジ星は円盤星に比べて、同じ CO に対してはより強い H2O を持つ。その強さは LPV 程度である。 H2O 指数の計算は赤化に 大きく影響される。もし強すぎる Av を採用していたら、この図での H2O 指数は過小評価されている。図2には AK が二つ以上の赤外カラーから 求まった星のみを載せた。 AK をどう決めるか? ここで採用した減光則は Mathis 1990 の A(λ) ∝ λ -1.7 である。これに対し、 Rieke,Lebofsku 1985, ではべき指数が -1.6, van de Hulst No.15 減光則では -1.9 となる。 減光則が平坦、たとえば -1.6、だと、同じカラーに対して推定される AK が大きくなる。ところが、AK が大きくなり、水蒸気 指数が補正されて小さくする効果があるが、これは平坦な赤化補正により ほぼ相殺されてしまう。 |
![]() 図2.CO と H2O 指数の比較。黒=銀河中心星。白三角=円盤巨星。 アステリスク=円盤超巨星。白五角=バーデの窓 M-巨星。白丸=円盤ミラ。 黒四角=銀河中心超巨星。黒丸=銀河中心 AGB または LPV。黒三角=不明。 メタル量効果 CO, H2O 指数はメタル量によっても変化すると考えられる。 Aaronson et al 1978, Frogel et al 198, Houdashelt 1992, Frogel, Whitford 1987, Terndrup et al 1991 の研究はメタル量効果の存在を明らかにした。 McWilliam, Rich 1994 は乱流、表面重力、12CO/13CO も 影響すると言っている。 |
![]() 図3."Na" と "Ca" 等値巾の和を CO 強度と比較した。シンボルの意味は 図2と同じ。組成、光度、温度の効果が競い合っている。銀河中心 AGB/LPV は バルジ巨星と同じくらいの "Na"+"Ca" 吸収を示し、それは円盤巨星よりも 強い。IRS 7 =銀河中心超巨星は円盤超巨星と比べると "Na"+"Ca" が 著しく強い。 "Na", "Ca" ラインの汚染 Kleinmann. Hall 1986 は K-バンド原子吸収線の中で Na, Ca 線を最も強いと述べている。 Wallace, Hinkle 1996 による、より高分解能スペクトルの結果は M-超巨星、晩期 M-巨星では Sc I が同等またはそれ以上に貢献していることを示している。その他、 "Na" ラインには Ti I, Si I, V I が、"Ca" には Ti I, Fe I が 寄与している。このような他元素の混入は観測されたライン強度の解釈を 複雑にする。 "Na" と "Ca" の比較 銀河中心星とバーデ窓星はフィールド M-巨星、M-超巨星よりも強い "Na", "Ca" 強度を示す。図4を見ると、"Na" の方が "Ca" よりも散らばり が大きい。星雲輝線の差引が不完全だと、残差が見える場合がある。 |
![]() 図4.上:"Na" 等値巾と CO 強度(%) の比較。 下:"Ca" 等値巾と CO 強度(%) の比較。 分子吸収線の影響 Wallace, Hinkle 1996 によると、多数の CN 分子吸収線が "Na", "Ca" 帯の中に認められている。IRS 7 の高分散スペクトルによると、それらも強度測定に影響する。CN の場合、周辺の 連続光のレベルにも影響しているので解釈は難しい。 |
4.1.AGB 星と超巨星AGB 星と超巨星を分離する意義は何か?観測した銀河中心星は TRGB より明るく、従って AGB 星か超巨星である。 AGB 星と超巨星は異なる時期の星形成を表すから、両者は区別したい。赤色 超巨星と青色超巨星の数の比は銀河中心の星形成モデルを制限するには重要な 量である。M-巨星と超巨星を区別する試みは Lebofsky, Rieke, Tokunaga 1982, Sellgren, Hall, Kleinmann, Scoville 1987 に始まる。ここでは、より高空間 分解能の観測データを用いて、中心星の幾つかが LPV/AGB の可能性があること を念頭に置いて、この問題に再挑戦する。 4.1.1.AGB 星と超巨星:定義と観測的特性AGB 星と超巨星の定義Jones,Hyland, Wood, Gatley 1983 によると、AGB 星は Minit ≤ 9 - 10 Mo の中間質量または低質量星であり、 縮退 C/O 核を有し、水素およびヘリウム殻燃焼をエネルギー源としている。 最も明るい AGB 星は熱パルス脈動星で LPV や OH/IR 星と呼ばれている。 (OH/IR 星は AGB 星に組み入れられる!) 我々はこれらの星を LPV/AGB 星と呼ぶ。AGB 星は一般にはコアマスー光度関係 (Paczynski 1970) に従うので、その最大光度は Mbol = -7.0 で制限される。 超巨星は Minit ≥ 10 Mo で、ヘリウムまたは炭素核燃焼を経過中である。M- 超巨星は Mbol ≤ -9.5 mag に達するが、Humphreys 1978 は幾つかの M-超巨星 が M > -6.0 であることを示した。 中間型サブグループ M-超巨星は変光はするが、ミラのようには振る舞わない。その振幅は通常 K で 0.5 mag 以下で、不規則である。Jones et al 1988 は明るい OH/IR 星のサブ グループが LPV のように見えるが、実はもっと大質量の超巨星であるという 議論をしている。それらは、AGB 限界の Mbol = -7 mag より明るいのである。 VX Sgr について VX Sgr はこれらのサブグループに属する星の可能性がある。その変光はミラの 特徴を備えているが、スペクトルは超巨星に分類されている。Elias et al 1980 は VX Sgr は SMC に見られる大振幅 (LA) 変光星に似た天体ではないかと述べた。 それらの星は実際には AGB 星である。VX Sgr までの距離は 250 pc から 1.5 kpc までさまざまである。 ( Chen et al 2007 は VLBI 観測から 固有運動を求め、D = 1.57 kpc とした。AGB と RSG の境界付近の質量、光度 なのかも知れない。) 4.1.2.色等級図色等級図の内容 図5には赤化補正した色等級図を示す。銀河中心星は超巨星(左)と巨星(右)、 別々に比較される。銀河中心星の AK は固有カラーを仮定して導いた。 (赤化補正すると仮定値に戻る?) 幾つかの星では赤化補正が過剰になっている可能性がある。銀河系超巨星の距離は 各アソシエイション内の OB-星までの距離を採用した。 IRS 7 : 唯一の大質量超巨星? IRS 7 は中心 5 pc に存在する唯一の大質量超巨星かも知れない。 ( He 輝線星はこの時は未知?) その Mbol = -9.0 (BC = 2.6 for M2 I )である。 ( Mbol = MK + BCK 。) |
他の中心星は、既知 LPV に対する
BCK = 2.9 - 3.2 を適用すると、Mbol > -7.0 で低質量 AGB 星の
限界光度以下である。中心星の半数以上は比較的暗く、 MK ≥ -8.0
である。これ等の星はサンプル中最も暗い超巨星よりさらに暗い MK を有す。
しかし、銀河系の超巨星は実際には -10.4 ≥ MK ≥ -8.1
(-7.8 ≥ Mbol ≥ -5.5) の範囲内で LPVs と重なり合っている。
中心星の幾つかはこの範囲内にある。明らかに、 MK だけで中心星を
はっきりと分けるのは難しい。
銀河中心星を3つに分ける 現時点では、次の3つに分ける。 (1)確実に超巨星である。 IRS 7 (2)M-巨星か AGB 星。IRS 12S, OSU C1, C2, C4. (3)超巨星か明るい AGB 星か、 IRS 1NE, 1SE, 2, 9, 11, 12N, 14 NE, 19, 22, 23, 24, 28, OSU C3. 表2の残りの星についてはスペクトルがない。しかし、全てが MK ≥ -8.0 である。 ![]() 図5.銀河中心星と比較星の色等級図。個々の星のデータは付録にある。 (左)既知超巨星との比較。 (右)既知 LPV, M-巨星との比較。 IRS 7 は図の中心星の中で最も明るい。見易さのため BW の星と LPV は一部 のみプロットした。GC = 8 kpc、RLMC = 46.8 kpc が採用されている。 |
H2 吸収 我々がスペクトルを観測した銀河中心13星の MK は超巨星か AGB 星に相当する。7/13 (IRS 9, 11, 12N, 14NE, 23, 24, 28) には LPV に よくある H2 吸収が見える。IRS 12S と OSU C2 の MK は AGB 星に相当し、やはり強い H2 吸収が見える。 ( 分類3は 7/13 で、分類2は 2/4 で、 分類1は 0/1 で H2 という意味。) これらの H2 吸収は既知ミラの吸収と似ている。しかし、 IRS 23 のみ 例外で、これは正体不明の付加吸収のために連続光が抑えられているように 見える。 変光 IRS 9, 12N, 24, 28 には K 変光が検出された。変光は今後もっと観測されるだろう。 メーザー IRS 24 からは H2, OH メーザーが検出された。 |
IRS 19, 22 と IRS 7 は超巨星か? IRS 19, 22 の MK は超巨星かAGB 星に相当し、強い CO と弱い H2 をしめすので、超巨星の可能性がある。IRS 7 の K 変光は 0.3 mag 程度で、超巨星の変光巾(Harvey et al 1974)に合致する。超巨星分類には、 MK の大きさ、強い CO, 弱い H2 の組み合わせが必要である。 IRS 1SE, 1NE, 2, OSU C3 は何か? IRS 1SE, 1NE, 2, OSU C3 は MK, CO, H2、変光 の組み合わせ からは M7 より晩期の AGB 星なのか、K5 - M0 の超巨星なのか決められない。 分類のまとめ 表2に中心星の分類のまとめを載せた。CO その他の吸収強度は分類に有効である。 |
4.3.1.CO 吸収強度中心超巨星と AGB/LPV の CO 強度図2を見ると、超巨星とされた IRS 7, 19, 22 の CO 強度は M0 - 2 超巨星 の典型的な値を持つ。AGB/LPV 分類の中心星は CO = 14% - 23% である。 平均すると、銀河中心 AGB/LPV の CO 強度は最晩期型バルジ星や円盤 M-巨星 に比べると強いようだ。 ( 比較がやや曖昧) これは、銀河中心星が AGB 上部の最も冷たく明るい星を代表していることを 示している。 CO 分類 もし、超巨星、AGB 星それぞれの光度クラスで中心星の CO 強度が、円盤の 対応星と同じならば、CO 強度から星毎にスペクトル型を与えることが可能である。 表1にはそうして決めたサブタイプを載せた。 有効温度 AGB 星のスペクトル型と有効温度の関係は Dyck et al 1996 から採った。LPV に対してはスペクトル型と有効温度の相関はそれほどよくない。Vassiliadis, Wood 1993 によると、LPV の光度は質量と強い相関がある。彼らの進化モデルと 中心星 Mbol とを組み合わせると、質量と LPV 有効温度が決まる。ちなみにこの 方法で決めた Te(&o,icron;Cet) は Ridgway et al 1992 の得た 2300 K に 近い。 超巨星に対しては、 Johnson 1966 のスペクトル型ー有効温度関係を用いる。 メタル量 上の方法を用いる際には、中心星と円盤星とでメタル量が同じという仮定を している。これはもちろんそうでないだろう。もし、中心星メタル量が大幅に 異なるとなったら、やり直しが必要になる。 |
4.3.2."Na" と "Ca" 吸収強度図3は Te と L により強く影響される。しかし、光度効果はほぼ完全に CO 強度にある。これが円盤とバルジの巨星を超巨星から分けている。"Ca" と "Na" 強度は Te 低下と共に大きくなる。でも話がはっきりしないので、省略する。 |
進化経路との比較 銀河中心星の光度と有効温度(表2)を進化経路と比較して、それらの 質量と年齢を算出することができる。進化モデルは Schaller et al 1992 の Z = 0.02 を用いた。IRS 7 は (20-25 Mo, 7-9 Myr), IRS 19 は (12-15 Mo, 12-18 Myr), IRS 22, 28 は (9-12 Mo, 18-29 Myr) という 値が得られた。 LPV の比較 LPV はもっと複雑である。Mbol は BCK = 3.2 (Sgr I LPVs) を仮定して求めると、-5.7 ≥ Mbol ≥ -6.5 となる。AGB 先端部の進化 のモデルは殆ど存在しない。 Vassiliadis, Wood 1993 モデルで概算フィットを行ってみよう。彼らの最大 Z は Z = 0.016 なのでそれを使う。すると、上の光度範囲に相当するのは比較的 狭い質量範囲 M = 4 - 5 Mo であることが判る。また、モデルから得られる有効 温度は Te = 2600 K、年齢 120 - 200 Myr である。これらの値は Schaller et al 1992 4 - 5 Mo の年齢 107 - 190 Myr と重なる。 その他の AGB 星 表2にある残りの AGB 星はより低い Mbol を持つ。これらにも、 BCK = 3.2 を採用し、 Schaller et al 1992 経路と比較すると、これら の星の質量は最大で 3 - 4 Mo, 年齢最低値 190 - 140 (?) Myr が得られる。 |
Vassiliadis, Wood 1993 と比較すると、最も明るい AGB 中心星 IRS 11, 14 NE は
その光度に達するための最低質量 = 2 Mo である。これは最大年齢 1.6 Gyr に相当
する。同様に、IRS 12S, OSU C1, C2, C4 は最少初期質量 1 Mo で 最大年齢 12 Gyr
である。IRS 20 を AGB 先端とすると Z = 0.02 で M = 0.8 Mo, 年齢 25 Gyr と
変なことになるので、この星は AGB を上っている途中と考えるべきであろう。
分類が出来なかった星 IRS 1NE, 1SE, 2, OSU C3 は AGB か超巨星かを決定できなかった。もしこれらを AGB 星と看做すなら、M < 3 - 5 Mo, t > 120 - 440 Myr となる。 しかし、もし、超巨星の BCK と 有効温度を適用するとこれらの星の 質量は 9 Mo にまで上がり、年齢も 29 Myr と若くなる。 ( BCK の代わりに現在では MIR 直接 測光値から Mbol が決まるのだろう。誰がどこでやった? ) 星形成史への意味 Mbol, Te, M, t は表2にまとめてある。これらの、星の年齢に差があることから 複数回の星形成が最近起きたと推定される。銀河中心での星形成モデル、 Tamblyn, Rieke 1993, Krabbe et al 1995, は連続星形成では既知の青色超巨星に対応してもっと多数の赤色超巨星が作られる はずなのに、それがないという理由から、連続的星形成を否定している。考えられる 一つの姿は、準周期的に起こる小さなバーストが異なる個所で発生し、それらが混ざ って現在中心 4 - 5 pc で見られる明るい星となったというものである。この モデルでは IRS 7 は Krabbe et al 1995, のいう 3 - 7 Myr バーストに対応する天体である。 |
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