銀河学校2013

銀河学校2013は2013/3/26-29の4日間にわたって開催され、全国の高校生33名が参加しました。
高校生たちは3つの班に分かれ、 「木星の衛星の探査」、「食を起こす近接連星の観測」、 「銀河系の姿を探れ!」というテーマに挑戦しました。 シュミット望遠鏡を用いた観測と天文学の本格的な研究を行い、それぞれの班が優れた結果を出すことができました。 3泊4日のハードなスケジュールをこなしながら、高校生同士やスタッフ・TAとの交流を深めていました。  各班のテーマはこちらこちらをご覧ください。
 

 


銀河学校2013スナップショット

各班のテーマ

A班: 木星の衛星の探査

「系外惑星の研究」はこの10年間で最も発展した天文学の分野と言えます。私たちが住む太陽系の他にも水をたたえた惑星があるのか?そこには生命が存在するのか?人類が宇宙を認識した時から抱きつづけてきた疑問でありながら長くそれに応えることができずにいました。しかし、1995年にペガスス座51番星の周りに初めて系外惑星が見つかると、その後はせきを切ったように発見ラッシュが続きました。そして現在では700個以上の系外惑星が確認されています。 次の10年の目標は水の惑星、緑の惑星を見つけることです。系外惑星を観測する方法はいくつかありますが、そこに水や緑が存在することを確かめるには直接撮像法と呼ばれる手法を用いることが最良とされています。日本をはじめ世界中の天文学者は今、直接撮像法を用いた系外水惑星の探査に向けて準備を進めています。 この班では、系外惑星の探査に用いるのと同じ「直接撮像法」を使って「木星の衛星の探査」を行います。105cmシュミット望遠鏡を木星に向けて、周囲を回る小さな岩石衛星を検出します。そして、その衛星の大きさや、重さ、軌道、表面の状態などについて議論します。この研究過程は系外水惑星の探査方法と酷似しており、現在、最前線で活躍する天文学者と同じ体験をすることができます。

B班: 食を起こす近接連星の観測

私たちの太陽は単独星と呼ばれる1つだけ孤立している恒星ですが、夜空に輝く星々の半分くらいは2つ以上の恒星からなる「連星」と呼ばれる天体であると考えられています。これらの天体では、複数の星が重力的に結びつき、お互いの共通重心の周りを公転しています。地球から見たときにお互いの公転している軌道を真横から見ることができる連星の場合、1つの星が別な星を隠すこ とで明るさが変化してみえる「食」と呼ばれる現象が起こります。 通常の恒星は大きな望遠鏡を使っても点にしか見えないので、その大きさを直接測ることは困難です。しかし食を起こす連星では、食の間隔や、片方の星がもう片方の星を隠し始めてから隠し終わるまでの時間、食が起こっている時間の長さ、食の時にどのくらい暗くなるかなどから、星の大きさや明るさ、温度など様々な情報を調べることができます。 この班では、食を起こす「ポーラー」と呼ばれる近接連星の一種を観測し、食の様子から2つの星の大きさや明るさの比率などを求め、この天体がどんな種類の星からできているのかを考えてみます。

C班: 銀河系の姿を探れ!

太陽、地球、その他の惑星などがふくまれるわれわれの太陽系は、2000億個ともいわれる夜空を構成する恒星とともに、「銀河系」という星のあつまりのなかに存在しています。そして、「銀河系」はアンドロメダ銀河やマゼラン星雲などと同じ銀河のひとつと考えられています。 それでは、「銀河系」に住んでいるわれわれにとって、「銀河系」は、どんな事柄についても最もよく調べられている銀河なのでしょうか。実はそうではありません。太陽や月が丸い形をしていることは太古の昔からわかっていました。しかしながら、地球が丸い形をしていることは、15世紀にコロンブスが航海した時代でもはっきりしていませんでした。これと同じく、われわれ人類は、未だかつて 「銀河系」を外側から見たことがありません。そのため、形や大きさ、構造について、よくわからないことが多いのです。 この班では、105cm望遠鏡でとられた画像から「銀河系」の構造を調べます。多くの銀河には渦巻きの形が見られます。われわれの「銀河系」には、この様な渦巻き構造があるのでしょうか。研究の材料となるものは、自分たちで撮る星の写真です。ここから、どのような方法、考え方を使うと結果が得られるのでしょう。自分たちの頭で考えながら、一歩ずつ着実に、研究を進めていきましょう。


『銀河学校2013』は、「NPO法人 サイエンスステーション」が共催しました。
サイエンスステーションのページに当日のレポートがありますので、 合わせてご覧ください。


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